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不満・返金相談の初動メモ

感情対応、契約確認、施術経過、写真、医師確認、返金可否を混ぜずに記録する初動の型。

不満・返金相談の初動メモのイメージイラスト
患者向けの詳しい解説(このトピックの教材) 美容医療の解約とクーリングオフ これから受ける人の視点で、同じトピックを深掘り。根拠もこちら。

先に読むと理解が早い

不満対応は、その場で結論を出すより、事実・感情・契約・医学的確認を分けて記録することが先。

FIG.01 — 初動は、結論より先に分けて残す

① 感情と事実 受け止める 時系列で書く ② 契約確認 日付・総額 期間・施術内容 ③ 医師確認 医学的可否 言い切らない ④ 希望と期限 希望対応 次回連絡 同じ順番で1枚に残す 日時・契約内容・説明履歴・施術経過・写真・医師確認・希望対応 個別相談で返金可否をその場で断定しない
図1不満対応は、感情・事実・契約・医学的確認を分けることが先。希望対応と次回連絡期限まで1枚に残し、その場で結論を出さない。

なぜ、その場で結論を出さないのか — 返金は一存では動かせない

美容医療は自由診療なので、価格も返金の扱いも、基本的には院が契約で定めた条件の範囲で動きます。対応したスタッフがその場で「特別に全額返金します」と言い切ってしまうと、一人の判断で院の売上を動かすことになります。しかも一度そう対応した記録が残れば、次に似た相談が来たとき「前の人にはしてもらえた」と比較の材料にされます。逆に確認もせず「返金はできません」と即座に断ると、契約書面すら見ないまま院の立場を決めてしまい、あとから対象条件を満たしていたと分かったときに、余計な対立を生みます。だから最初の電話や対面で渡すべきものは、結論ではなく記録です。

返金や解約は、院にとって粗利(売上から材料費などを引いた残り)が動く話でもあります。相談のたびに対応した人の裁量で答えていると、基準がスタッフごとにばらつき、院全体の返金ルールが実質的に骨抜きになります。初動を同じ型の記録に固定しておくのは、患者を守るためだけでなく、院の対応を一貫させるためでもあります。その場しのぎの対応は一件では小さく見えても、積み重なると院の収益に響きます。返金額そのものだけでなく、対応に費やす時間、エスカレーションの手間、消費生活センターや弁護士とのやり取りに発展したときの負担まで含めて考えると、最初の数分でどれだけ記録を残せるかが、あとの工程全体のコストを左右します。

法律の線 — クーリングオフと中途解約には期限と上限がある

返金の可否を左右する最初の分かれ目は、契約が特定商取引法の「特定継続的役務提供」にあたるかどうかです。対象になるのは、契約期間が1ヶ月を超え、契約総額が5万円を超え、脱毛やしみ除去など法律で定めた施術にあてはまる契約です。この3条件をすべて満たしていれば、契約書面を受け取った日から8日以内は、施術をすでに受けていても、理由を問わず全額の返金を求められます。どれか一つでも外れていれば法律の保護は自動的には及ばず、院の約款や消費者契約法の範囲で個別に判断することになります。だから最初にすることは、契約書面の日付・総額・期間・施術内容を確認することです。

8日間を過ぎても、契約期間中であれば「これから先」を止める中途解約ができます。ただし解約料には法律の上限があり、施術がまだ始まっていなければ2万円、始まっていれば提供済み分の対価に加えて5万円または契約残額の20%のいずれか低い額までしか請求できません。約款にそう書いてあるからと、この上限を超える金額をそのまま伝えると、院自身が法定上限を超えた請求をしてしまうことになります。スタッフが電話口でとっさに口にする金額は、契約書面と法律の上限を確認したうえでの数字でなければならず、確認前に断定しないことが後のトラブルを防ぎます。

記録がないと、現場の中でも話がすれ違う

初動の記録が薄いと、困るのは患者だけではありません。対応したスタッフ本人も、あとから「なぜあの時そう言ったのか」を説明できなくなります。相談を受けた担当者が休みの日に別のスタッフへ電話が入ると、経緯を知らないまま対応することになり、前回と違う説明をしてしまうこともあります。とくに複数店舗を持つ院や、シフトの担当が固定されていない現場では、この引き継ぎの弱さがそのまま対応の質のばらつきになります。患者からすれば、誰に聞いても同じ説明が返ってくることが信頼につながります。感情・事実・契約・医師確認を分けた1枚のメモがあれば、誰が引き継いでも同じ経緯からやり直せます。

記録は、同じ種類の相談が繰り返し起きていないかを見るための材料にもなります。たとえば同じ説明の聞き漏れが原因の相談が続くなら、それはスタッフ個人の対応力の問題ではなく、同意取得の場面で伝え方が足りていないサインかもしれません。一件ずつは些細に見える記録でも、数ヶ月分をまとめて見返すと、特定の説明や特定の施術に相談が偏っていることに気づける場合があります。相談メモを積み重ねることで、次のカウンセリングでの説明を厚くするといった改善につなげられます。記録がなければ、毎回その場限りの対応で終わり、同じすれ違いが繰り返されます。

初動で、混ぜずに残す

  1. ① 感情と事実を分ける

    まず受け止め、何が起きたかの事実だけを時系列で書く。その場で結論は出さない。

  2. ② 契約を確認

    契約書面の日付・総額・期間・施術内容。返金の可否はここから始まる。

    → 解約とクーリングオフ
  3. ③ 医師確認に戻す

    医学的な可否はスタッフ判断で言い切らず、医師に戻す。

    → カウンセラーと医師の役割の違い
  4. ④ 希望と次回期限

    患者の希望対応と、次に連絡する期限を1枚に明記する。

現場で、この読み筋を当てる

電話口で「今すぐ返金するかどうか答えて」と迫られたとき

求人票 施術後にトラブルを感じた患者から電話が入り、「納得できないので今日中に返金するかしないか答えてください」と強く求められた。

読み筋 電話一本で結論を出す義務はありません。まず気持ちを受け止め、何が起きたかを聞き取りながら時系列で記録します。そのうえで「契約内容と医師の確認が必要なので、いつまでに折り返します」と期限を切って預かります。急かされるほど即答したくなりますが、契約書面も見ずに出した結論は、あとで自分の首を絞めることがあります。

「対応してもらえないなら口コミに書きます」と言われたとき

求人票 返金相談の途中で、「このまま埒が明かないならSNSや口コミサイトに実名で投稿します」と告げられた。

読み筋 評判に関わる発言は、つい特別対応で急いで収めたくなる場面です。ただし、対応の手順を変える理由にはなりません。プレッシャーの言葉も含めて事実として記録し、対応の優先度と社内への共有だけを早めます。結論を急いで出すことと、対応を急ぐことは別の話です。

「前に来たときは無料でやり直してもらえた」と言われたとき

求人票 過去の来院時に別のスタッフから口頭で受けた説明を根拠に、「無料でやり直すと言われた」と主張された。

読み筋 口頭でのやり取りは、双方の記憶に頼るしかなく、言った言わないになりやすいものです。まずカルテや説明記録に該当のやり取りが残っているかを確認します。記録がなければ「確認したうえで折り返す」と伝え、断定はしません。これは、次に同じ説明をする人のために、その場の会話も残しておく必要があることを示すケースでもあります。

やりがちな誤読

NG 電話口や対面で、「返金します」あるいは「返金はできません」とその場で言い切ってしまう。

読み直す 「事実を記録して、契約内容と医師の確認をとってから、いつまでに連絡します」と期限を切って預かります。

即答は、契約確認前の返金判断にも、医師確認前の医学的判断にも踏み込んでしまいます。

NG 患者の言い分や感情面だけを聞き取って記録し、契約書面の日付・総額・期間・施術内容を確認しないまま話を進める。

読み直す 感情を受け止めるのと並行して、契約書面を確認します。特定商取引法の対象かどうかは、この確認から始まります。

契約書面を見ないと、クーリングオフや中途解約の対象かどうかも判定できません。

NG 約款に書かれている解約手数料の金額を、そのまま患者に伝える。

読み直す 伝える前に、その金額が法律の上限(施術開始前は2万円、開始後は提供済み分に加えて5万円または残額の20%の低い方)を超えていないか確認します。

法定上限を超える解約料は、約款に書かれていても無効です。確認せず伝えると、院が無効な請求をしてしまいます。

YOUR VIEW

あなたの立場で読む

現場では、日時、契約内容、説明履歴、施術経過、写真、医師確認、希望対応を同じ順番で残す。

次の一歩 相談を受けたら、事実確認、契約確認、医師確認、希望対応、次回連絡期限を1枚に残す。
演習

不満相談を1件想定し、感情・事実・契約・医師確認・次回連絡期限を混ぜずに1枚の初動メモに落とす。その場で結論を出さない理由を書く。

確認するキーワード

返金相談契約確認経過写真医師確認記録
使うときの線引き: 個別相談に対して返金可否を断定しない。患者・院・スタッフのどちらかを一方的に悪者にしない。

根拠

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