機種導入前に、どの外枠を見る?
このDBは患者向けに作った価格調査ですが、供給側から読み直すと、市場浸透の輪郭が見えてきます。ここでは54機種のうち代表データを、取扱院数・価格帯の広さ・区分数・エリア分布という公開情報だけで眺め直します。
01このデータで書けること / 書けないこと
ここで使うのは、患者向けDBに入っている公開情報だけです。具体的には、各機種の取扱院数、部位別・1回あたりの患者向け価格帯、価格区分数、掲載院のエリア分布です。いずれも、各院公式サイトに出ている表示をもとに集計しています。
逆に、院側の取得額、採算、月額支払い条件、回収期間、メーカーとの個別条件は扱いません。公開価格DBから確認できない情報を推測で補うと、記事の中立性が崩れてしまうからです。
だから本稿は「この機種を入れるべきか」には答えません。お伝えしたいのは、入れる前に市場の外枠を読むとき、最初にどの公開指標を見るかです。
FIG. 01 — 公開DBから読める外枠指標
02各機種の外枠指標
代表機種を同じ形式で並べる。取扱院数は adoption_trend、価格帯と区分数は souba、エリア分布は clinics_by_category から集計した。
データ生成日は 2026-07-16。価格はすべて患者向け表示価格の範囲であり、院側の条件ではない。
ウルセラ(ハイフ)
2026-07
- 患者向け価格帯
- 32,890円〜770,000円
- 観測数
- 226件
- 上位エリア
- 東京都 21 / 大阪府 8 / 愛知県 6 / 福岡県 5 / 不明/全国 4
掲載41院とHIFUの最普及帯にいながら、全顔中央値は22万円と最上位の価格ポジション。患者側の比較対象が多い機種なので、価格説明の精度がそのまま問われる。
ウルトラセルQ+
2026-07
- 患者向け価格帯
- 11,000円〜350,000円
- 観測数
- 210件
- 上位エリア
- 東京都 19 / 不明/全国 12 / 大阪府 9 / 兵庫県 4 / 福岡県 2
掲載51院と今回の8機種で最多。全顔中央値4.9万円の低価格ポジションで、患者が他院価格を把握しやすい。価格で差がつきにくいぶん、区分設計の分かりやすさが外枠になる。
ウルトラフォーマーMPT
2026-07
- 患者向け価格帯
- 16,500円〜250,000円
- 観測数
- 233件
- 上位エリア
- 東京都 17 / 大阪府 8 / 愛知県 4 / 不明/全国 3 / 神奈川県 3
掲載44院・全顔中央値6.7万円の中価格帯。同系統機と患者側で混同されやすく、DB上も併記表記が目立つ。機種名をどう掲示するかまで含めて外枠を見る。
ダブロゴールド
2026-07
- 患者向け価格帯
- 19,800円〜437,800円
- 観測数
- 143件
- 上位エリア
- 東京都 11 / 不明/全国 5 / 福岡県 4 / 大阪府 3 / 愛知県 2
掲載25院・全顔中央値7.7万円。全顔と全顔+首で中央値が3倍近く離れており、範囲の定義が価格差の主因になる機種。範囲表記の設計から確認する。
ソフウェーブ
2026-07
- 患者向け価格帯
- 32,780円〜660,000円
- 観測数
- 210件
- 上位エリア
- 東京都 10 / 愛知県 7 / 不明/全国 6 / 神奈川県 3 / 福岡県 3
掲載37院・全顔中央値19.8万円と、ウルセラに次ぐ高価格ポジション。部位区分が6つに割れており、全顔+顎下+首のような複合メニューの作り方が価格表の複雑さに直結する。
シュリンク/ウルトラフォーマー
2026-07
- 患者向け価格帯
- 11,000円〜198,000円
- 観測数
- 93件
- 上位エリア
- 不明/全国 4 / 大阪府 4 / 東京都 4 / 兵庫県 2 / 愛知県 2
掲載21院はDB収載の下限に近く、観測26件と価格情報もまだ薄い。ウルトラフォーマーと併記される院が多く、単独の相場が読みにくい。掲示のされ方そのものを確認したい機種。
サーマクールFLX
2026-07
- 患者向け価格帯
- 65,890円〜770,000円
- 観測数
- 139件
- 上位エリア
- 東京都 10 / 不明/全国 9 / 大阪府 5 / 福岡県 3 / 愛知県 2
価格区分が10と8機種で最多。世代(FLX/CPT)と部位で表が細かく割れ、全顔中央値も32.9万円と最上位帯。区分の多さは説明・同意書・料金表の運用コストに直結する。
デンシティ
2026-07
- 患者向け価格帯
- 16,500円〜390,000円
- 観測数
- 113件
- 上位エリア
- 東京都 8 / 不明/全国 7 / 大阪府 2 / 京都府 1 / 栃木県 1
RF系で掲載23院・8区分。ショット数刻みで区分が細かく、患者向け表示もショット単位が前提になる。ショット課金の見せ方を先に決めたい機種。
FIG. 05 — 取扱院数で見る代表機種の外枠
03チップ区分の多さと投資構造
ここでは金額ではなく、区分数だけを見ていきます。ポテンツァはDB上で11区分あり、代表データの中でも細かいほうです。ダイヤモンドチップ、S-25、SFA、ドラッグデリバリー、肝斑、ニキビ、酒さ・赤ら顔、顔部分、ボディなど、患者向けには同じ機種名でも複数の商品として見えています。
区分が多いと、メニューは広く作れます。その代わり、在庫・説明・同意書・料金表・スタッフ教育も、その数だけ細かくなります。これは「どの機種が良いか」ではなく、「患者に見える商品数が多いか少ないか」という外枠の話です。
サーマクールは10区分ですが、FLX/CPT/アイなど世代・部位が混在しています。ダーマペンは6区分、HIFU(ウルセラ)は5区分、オンダは8区分で、いずれも「機種名」だけでは患者向けメニューの中身を表しきれません。
FIG. 02 — 区分数はメニュー運用の複雑さを映す
04エリア分布
当DBの掲載院は、東京・大阪・愛知・福岡など都市部に寄っています。これは「そのエリアにしか需要がない」という意味ではなく、当DBの調査範囲が東京大手・都市部の公開料金ページを中心に始まっているからです。
たとえば代表データでは東京都が上位に出ます。大阪府も多く、愛知県・福岡県が続く機種が目立ちます。一方、地方都市や個人院の網羅調査はまだ範囲外で、地方の実勢を代表するデータとは言えません。
だから供給側はこう読みたいところです。「この機種は全国でどれだけ強いか」ではなく、「当DBの調査範囲で、どの都市部なら患者が価格を比べやすいか」。読めるのはそこまでです。
ウルセラ(ハイフ)
- 東京都 21
- 大阪府 8
- 愛知県 6
- 福岡県 5
- 不明/全国 4
ウルトラセルQ+
- 東京都 19
- 不明/全国 12
- 大阪府 9
- 兵庫県 4
- 福岡県 2
ウルトラフォーマーMPT
- 東京都 17
- 大阪府 8
- 愛知県 4
- 不明/全国 3
- 神奈川県 3
ダブロゴールド
- 東京都 11
- 不明/全国 5
- 福岡県 4
- 大阪府 3
- 愛知県 2
ソフウェーブ
- 東京都 10
- 愛知県 7
- 不明/全国 6
- 神奈川県 3
- 福岡県 3
シュリンク/ウルトラフォーマー
- 不明/全国 4
- 大阪府 4
- 東京都 4
- 兵庫県 2
- 愛知県 2
サーマクールFLX
- 東京都 10
- 不明/全国 9
- 大阪府 5
- 福岡県 3
- 愛知県 2
デンシティ
- 東京都 8
- 不明/全国 7
- 大阪府 2
- 京都府 1
- 栃木県 1
FIG. 03 — 掲載院のエリア偏在(調査範囲)
05まとめ — 外枠判断の3軸
取扱院数は、その機種を患者がどれだけ見かけやすいか——普及の代理指標です。価格帯の広さは、範囲や構成の説明をどこまで丁寧にやる必要があるかを決めます。そして承認状況は、本体・チップ・構成品を分けて、各院がPMDA医療機器情報検索で自分で最新を確かめるしかありません。
この3軸で機種の優劣は決まりません。決まるのは、患者から自院の機種がどう見えているか、そしてその見え方を自分の言葉で説明できるかです。点検するのは、そこだけで十分です。
FIG. 04 — 機種候補が決まったら見る3軸の順番
よくある質問
この記事の価格データは何を出典にしていますか?
当ラボが各院公式サイトに掲示された患者向け価格を、部位別・1回あたりで集計した既存DBです。対象は54機種で、2026年6月時点の公開情報をもとにしています。
院側の取得額や採算情報を載せないのはなぜですか?
公開DBから確認できない非公開情報だからです。本記事では、公開価格DBから読める取扱院数、患者向け価格帯、価格区分数、エリア分布だけを扱います。確認できない数字を推測で補うことはしません。
承認状況は誰が確認すべきですか?
最終確認は各院が、PMDAの医療機器データベース、販売元資料、同意書、院内掲示、公式ページなどで行うべき事項です。本記事は確認項目を示すだけで、個別機種や構成品の最新状態を保証するものではありません。
導入の相場観も、動きます。
普及度も掲示価格も、月次の再収集で更新されます。新しい機種の収載や価格の動きは、X でお知らせします。
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