ハイフは何ショット必要?
ハイフで迷いやすいのは、施術名ではなく「自分の場合、どこに何ショット打つのか」です。 同じ「全顔◯円」でも、含まれる範囲・機種・照射数が違えば別の見積もりになります。 広告の数字をそのまま比べる前に、何をそろえて聞けばいいかをデータで整理しました。
01ハイフの仕組みと「できること・できないこと」
医療ハイフ(High Intensity Focused Ultrasound)は、集束超音波を皮膚の深い層に当てて熱凝固点を作ることで、たるみにアプローチする施術とされています。皮膚を切らずにリフトアップを狙える施術ともいわれます。ただし、効果の出方も持続も個人差が大きいものです。
ハイフが向くとされるのは「皮膚の支持組織の緩みによるたるみ」。一方、骨格の変化・脂肪の位置・皮膚の質感によるたるみは、ハイフ単独では限界があるとされています。自分のたるみの種類がどれに当たるかは、医師の診察で確認することが大切です。
たるみの種類や他の施術との比較については たるみ・シワ治療はどれを選ぶ? も参照してみてください。
「切らないリフトアップ」はあくまで傾向——自分に合うかは診察で確認が必要。
FIG. 01 — ハイフの作用層と向き不向き(概念断面図)
02エステハイフと医療ハイフは何が違う?
エステサロンでも「ハイフ」をよく見かけます。医療ハイフより安いことも多く、「同じハイフなら安いほうで」と思うかもしれません。でもここは、値段を比べる前に知っておきたいところです。
2024年6月、厚生労働省は「ハイフを人体に照射して熱凝固(やけど・神経障害などの合併症だけでなく、引き締めやシワ改善も含む)を起こさせ得る行為は、医療用の機器かどうかを問わず、医師が行うのでなければ医師法違反にあたる」とする通知を出しました(医政医発0607第1号)。つまりハイフは、医師が医療機関で行う医療行為と位置づけられています。
背景には、報告されてきた健康被害があります。国民生活センターは2017年に、エステ等でのハイフ施術によるやけど・神経損傷などの相談事例について注意を呼びかけました。さらに消費者安全調査委員会の2023年の報告では、2015〜2022年に135件の事故情報が登録され、その約97%が女性でした。顔面の神経麻痺や急性白内障といった重い事例も含まれていました。
「エステは出力が低いから安全」という説明も見かけます。ただ消費者庁は、エステでも医療機関と同程度の高出力な機器が使われている場合があると指摘しています。出力が低いから安全なのではなく、解剖学的な知識がないまま強いエネルギーを扱うことが危険視されている——という整理のほうが実態に近いといえます。
「同じハイフ」に見えても、誰が・どこで・どんな体制で行うかが違います。
FIG. 02 — エステハイフと医療ハイフの違い
| エステ(サロン) | 医療(クリニック) | |
|---|---|---|
| 施術者 | 医療者ではないスタッフ | 医師(医療機関で実施) |
| 法的な扱い | 2024年6月の厚労省通知で「医師でなければ医師法違反」とされた | 医師が行う医療行為として実施 |
| 機器・出力 | 医療と同程度の高出力機器が使われる場合もある(低いとは限らない) | 医師の管理下で照射量を調整 |
| トラブル時 | 相談は消費者ホットライン188 | 医師が対応・医療機関や保健所に相談できる |
| 価格帯 | 比較的安価なことが多いとされる | 当ラボ調査で全顔1回 約2万〜17万円超 |
出典:国民生活センター(2017)、消費者安全調査委員会(2023)、厚生労働省 医政医発0607第1号(2024)、消費者庁。価格は当ラボの大手6院調査(2026年6月)による。エステを一律に否定する趣旨ではなく、施術の位置づけの違いを整理したもの。
03「全顔」の範囲が院ごとに別物
広告の「全顔◯円」は、院ごとに「全顔」の定義が違います。当ラボが大手6院の公式料金ページを調査したところ、その実態は大きく割れていました。
あご下・目元込みを「全顔」とする院もあれば、額・目周りを除くと明記する院もあります。さらに「全顔メニューそのものが存在しない」院もあり、その場合は部位の積み上げで全顔相当になります。価格だけ見ても、含まれる範囲が違えば比べようがありません。
「全顔」という言葉を揃えて価格を比べることはできません。
FIG. 03 — 院ごとの「全顔」範囲イメージ(概念図)
04ショット数の読み方
医療ハイフの照射量は「ショット数」で表されます。同じ「全顔」でも、ショット数が違えば施術の内容が別物になります。
当ラボの調査では、ショット数の数値を公表していたのは6院中2院(一部メニューのみ含む)でした。公表されている範囲でも、同じ「全顔」で650〜5,000ショットと約8倍の開きがありました。「全顔◯円」という価格だけでは、照射量を比べることはできません。
ショット数を開示していない院でも、カウンセリングで「何ショット照射しますか、書面でもらえますか」と聞くことは可能です。回答の質が、その院の透明性を測る指標にもなります。
ショット数なしの「全顔◯円」は、量が比べられない価格です。
FIG. 04 — 機種 × 範囲 × ショット数 の3変数構造
05機種と承認状況
医療ハイフには、国内で薬事承認を受けた機器と、未承認の機器があります。未承認機器が直ちに危険ということではありませんが、万が一の健康被害が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度(PMDA)の対象外とされる点は知っておきたいところです。
国内未承認機器を使用している院の中でも、ページ上で「国内未承認(海外認証)」と明記し、承認状況を開示している院があります。当ラボの調査では、6院中1院がこの開示を行っていました。未承認が問題ではなく、開示するかどうかの透明性が、その院の姿勢のあらわれです。
カウンセリングでは「使用機種の国内承認状況を教えてください」と聞くことができます。回答の明確さと、書面(同意書など)に記載されているかを確認してほしいところです。なお当ページでは特定の未承認機種名は記載していません。
機種名と承認状況を聞かないまま選ぶと、未承認かどうかも分からないまま受けることになります。
FIG. 05 — 承認あり/未承認(海外認証)の対比マトリクス
06値段の幅は約9倍
当ラボが大手6院の公式料金ページを調査したところ、医療ハイフ(全顔1回・通常価格)の最安は19,800円、最高は17万円超(税込)と約9倍の幅がありました。
ただしこの差は「安い院が悪くて高い院が良い」という単純な話ではありません。前述のとおり、含まれる範囲・ショット数・機種・施術者(医師か看護師か)の構成が違うからです。「安い=コスパが良い」「高い=安心」という判断軸は使えません。
具体的な価格と各院の詳細は ハイフの値段はいくら?全顔1回の相場と大手6院比較【2026年6月調査】 で確認できます。
全顔で十数万円になることもあり、その場で分割払い(医療ローン)をすすめられるケースもあります。月々の数字ではなく総額で見る読み方は 医療ローンの「月々◯円」の読み方 で整理しています。
比べるなら「◯円の中身」から。価格だけを横並びにしても判断材料になりません。
07カウンセリングでこのまま聞く質問リスト
コピーして、カウンセリングでそのまま読み上げられます。
FIG. 06 — カウンセリング質問リスト6項目
「全顔の範囲はどこからどこまでですか?あご下・目元・額は含まれますか?」
— 院ごとに「全顔」の定義が違う。カウンセリング前に広告で見た価格が何を指すか確認する
「ショット数は何ショットですか?書面でもらえますか?」
— 非公表が多いが聞いて問題ない。書面への記載を求めることができる
「使用機種の名前と、国内薬事承認を受けているかどうかを教えてください」
— 承認状況は施術の同意判断に必要な情報。答えられない・曖昧な院は注意
「施術するのは医師ですか、看護師ですか?」
— 医師・看護師で技術の幅が異なるとされる。誰が施術するか事前に確認する
「私の場合、効果の目安・持続の見込み・起こりうるリスクを教えてください」
— 一般論ではなく「私の場合」として聞く。根拠のない断言をする院は持ち帰って検討する
「追加照射が必要になった場合、1ショット(または1部位)の追加単価はいくらですか?」
— 初回パッケージの外に費用が出ることがある。追加単価を先に聞いておく。
よくある質問
ハイフは何ヶ月くらいもちますか?
持続の目安は一般に6ヶ月〜1年程度とされていますが、皮膚の状態・使用機種・照射量・施術者の技術など多くの要因で変わり、個人差が大きいとされます。「◯ヶ月もつ」と断言できる医師はいません。カウンセリングでは「私の場合の目安と、その根拠は」と聞いてください。
エステハイフと医療ハイフは何が違いますか?
2024年6月の厚生労働省通知により、ハイフを人体に照射して熱凝固を起こさせる行為は、機器の種類を問わず、医師が行うのでなければ医師法違反にあたるとされました。つまり医療ハイフは医師が医療機関で行う医療行為です。エステ等での施術については、やけどや神経障害などの健康被害が国民生活センターや消費者安全調査委員会から報告されています。違いの詳細はこの記事の02でまとめています。
痛いですか?麻酔は使えますか?
痛みの感じ方には個人差があり、熱感・チリチリとした刺激感を感じやすいとされています。麻酔(笑気・表面麻酔・静脈麻酔など)のオプションを設けている院もありますが、麻酔の有無・種類・費用は院によって異なります。当ラボの大手6院の麻酔オプション調査(/research/masui-option-tokyo-202606/)も参考にしてください。
何歳から受けるべきですか?
施術の適応年齢は院・機種・目的によって異なり、「◯歳から」という一律の基準はありません。たるみが始まる前の予防目的で受ける方から、進行したたるみへのアプローチとして受ける方まで幅広いものです。「今の自分の状態に照射が向くか」を、医師の診察で確認してください。
ハイフは医療費控除の対象になりますか?
美容を目的とした施術は、医療・エステを問わず、原則として医療費控除の対象外と考えられています。国税庁の一般的な考え方では、治療に直接関係のない費用は対象外とされているためです。具体的な可否は、お住まいの地域の税務署にご確認ください。
ハイフは、ショット数を聞いてから。
全顔の範囲・ショット数・機種名。カウンセリング前のチェックリストを見ながら聞けます。
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