針RF・針
カウンセリングルームで、モニターに映った肌の断面図を見せながら「この機械は針の先から高周波を流して、肌の内側だけにピンポイントで熱を加えます」と説明する場面がある。針を刺すことへの不安と、熱による効果への期待がせめぎ合う瞬間に、カウンセラーがまず整理すべきは「この機種は何が承認されていて、何が承認されていないのか」という一点だ。
針RF・ダーマペンのカテゴリは、極細の針で肌に小さな刺激を与え、コラーゲンの生成や肌の修復反応を引き出す機器群である。仕組みの発想は近くても、針とRFの組み合わせ方、モードの数、そして国内での承認状況は機種ごとに大きく異なる。
この章では、国内承認を取得したポテンツァ、未承認機器として個人輸入で導入されるダーマペン4・シルファームX、そして関連機種の承認と単体名称の承認が食い違って見えるモフィウス8という4機種を通じて、このカテゴリの見取り図と、承認状況をどう読むかの視点を持てるようにする。
針とRF、それぞれの役割
針RFと呼ばれる機器の多くは、極細の針を皮膚に浅く刺し、その針先から高周波(RF、電気エネルギーの一種)を流して皮膚の内側にごく小さな熱ダメージを作る仕組みを採っている。表皮を大きく傷つけずに深い層へ狙って熱を届けられる設計とされ、その熱刺激をきっかけに肌がコラーゲンを作り直そうとする反応(創傷治癒)を引き出すのが狙いだ。
一方、ダーマペンのように針の上下運動だけで肌に微細な穴(マイクロチャネル)を作るタイプの機器もある。RFの熱を使わず、針が作る物理的な刺激そのものが修復反応の引き金になる。針を抜く際やその直後に美容液などを塗布し、開いた穴から成分を届ける経皮導入(トランスダーマル)という使い方と組み合わされることも多い。
同じ「針×熱」または「針×成分導入」という発想でも、針の深さ調整の幅、RFの出力やモードの切り替え、成分導入の仕組みの有無は機種ごとに異なる。次の各機種の解説では、この構造の違いと、国内での承認状況という2つの軸で見比べていく。
機種・製剤一覧
| 名称 | メーカー(国) | 承認状況 | 主な適応 | 相場 |
|---|---|---|---|---|
| ポテンツァ (POTENZA) | Jeisys Medical Inc.(韓国本社、日本法人: Jeisys Medical Japan株式会社)(韓国) | 国内承認 確認日 2026-07-12 | 毛穴の開き、ニキビ跡の凹み(クレーター)、肌の引き締め、赤み | 価格DB → |
| ダーマペン4 | DermapenWorld (Equipmed USA LLC がFDA申請者)(オーストラリア/米国) | 国内未承認 確認日 2026-07-12 | 毛穴の開き、ニキビ跡・瘢痕、肌質改善・キメ、小じわ、美容液等の経皮導入(トランスダーマル)、肌のハリ不足 | 価格DB → |
| シルファームX | VIOL社(韓国、製造元)/BENEV社(米国、Sylfirm Xブランドの展開・販売元)(韓国(製造)・米国(ブランド展開)) | 国内未承認 確認日 2026-07-12 | 肝斑、毛穴の開き、小じわ、たるみ、ニキビ跡、肌の赤み・くすみ | 価格DB → |
| モフィウス8 | InMode Ltd.(イスラエル、日本代理・販売はインモード・ジャパン株式会社)(イスラエル) | 一部承認 確認日 2026-07-12 | しわ・たるみの改善、肌のハリ・引き締め、ニキビ跡、毛穴の目立ち、肌質改善(フラクショナルリサーフェシング)、ボディの引き締め(部位により) | 価格DB → |
機種・製剤の解説
ポテンツァ (POTENZA)
国内承認 確認日 2026-07-12極細の針を皮膚に刺し、針先から高周波(RF、電気エネルギーの一種)を流して皮膚の内側に小さな熱ダメージを与えることでコラーゲンの生成を促す機器。針を抜く際に美容成分を肌の中に届ける機能も備える。
承認状況:2023年12月5日付でJeisys Medical Japanが医療機器製造販売承認(承認番号30500BZI00042000、クラスⅢ・高度管理医療機器)を取得しました。承認された使用目的は「審美性の改善のための皮膚のフラクショナルリサーフェシングを目的とした軟組織の凝固及び蒸散」です。承認前(2023年12月5日以前)は医師の個人輸入等により国内未承認機器として導入していたクリニックがあったことが第三者サイトでも確認できます。承認取得時期・対象モデル(BASIC等)によって承認済み機器か未承認機器かが院ごとに異なりうる点は要確認です。
ポテンツァは2023年12月5日付で国内の医療機器製造販売承認(クラスⅢ・高度管理医療機器)を取得しており、承認された使用目的は「審美性の改善のための皮膚のフラクショナルリサーフェシングを目的とした軟組織の凝固及び蒸散」とされる。この章で扱う4機種のうち、国内承認を取得している唯一の機種という位置づけになる。
ただし承認取得は2023年12月であり、それ以前は医師の個人輸入等により未承認機器として導入していたクリニックがあったことも第三者サイトで確認できる。承認取得時期やモデル(BASIC等)によって、その院で使われている機体が承認済みか未承認かが異なりうる点は、カウンセリングで確認する価値がある。導入院数は56院とこの章の中でも多い部類にあたる。
出典
- PMDA 医療機器 添付文書等情報検索(PMDA、確認日 2026-06-17)
- POTENZAが医療機器製造販売承認を取得した旨のメーカー公式告知(Jeisys Medical Japan株式会社、確認日 2026-06-17)
- POTENZAが「審美性の改善のための皮膚のフラクショナルリサーフェシングを目的とした治療用電気手術器」での医療機器製造販売承認を取得。(Jeisys Medical Japan株式会社(PR TIMES配信)、確認日 2026-07-12)
- POTENZA | 新宿・大阪心斎橋・名古屋・福岡の美容クリニック|DAILY SKIN CLINIC(DAILY SKIN CLINIC、確認日 2026-07-12)
ダーマペン4
国内未承認 確認日 2026-07-12先端の極細針を高速で上下運動させて肌に微細な穴(マイクロチャネル)を作り、肌自身の修復反応(創傷治癒)を促す機器。針の深さを調整でき、成分を穴から浸透させる目的で美容液等と併用されることが多い。
承認状況:国内では薬機法上の医療機器としての承認・認証を取得していない未承認医療機器です。国内で提供する医療機関は医師個人による個人輸入により入手し、自由診療として実施しています(タカミクリニックの説明表示で確認済み)。同ページでは国内に同等性能の承認医療機器は存在しないと明記されています。
ダーマペン4は国内で薬機法上の医療機器としての承認・認証を取得していない未承認医療機器であり、国内で提供する医療機関は医師個人による個人輸入で入手し自由診療として実施している。ある院の説明表示では、国内に同等性能の承認医療機器は存在しないと明記されている点も、この機種の位置づけを理解するうえで押さえておきたい。
仕組み面では、RFによる熱ではなく針の上下運動そのもので微細な穴を作り、肌の修復反応と美容液等の経皮導入を狙う設計が特徴とされる。米国では2022年にFDAの510(k)クリアランスを取得したとされるが、これは国内承認とは別の話である。導入院数は32院で、毛穴・ニキビ跡治療の定番機種として広く導入されている。
出典
- PMDA 医療機器 添付文書等情報検索(PMDA、確認日 2026-06-17)
- Dermapen 4 | DermapenWorld(DermapenWorld、確認日 2026-07-12)
- ダーマペン4 | 美容皮膚科タカミクリニック(東京 表参道)(タカミクリニック、確認日 2026-07-12)
- News - Dermapen4: FDA-Cleared Microneedling Revolution for Scar Reduction & Skin Rejuvenation(Lasers & Beauty (業界メディア)、確認日 2026-07-12)
シルファームX
国内未承認 確認日 2026-07-12極細の針(マイクロニードル)を皮膚に刺し、そこから高周波(RF)エネルギーを流して皮膚の狙った深さに熱を届ける機器。パルス波(短い刺激で毛細血管などにねらいを絞る)と連続波(真皮を広く加熱してコラーゲンの生成を促す)の2つのモードを切り替えられる点が特徴とされる。
承認状況:国内では薬機法上の未承認医療機器です。臨床現場では医師の個人輸入(韓国VIOL社製、国内代理店経由)により導入されている例が確認できます(花小金井駅前スキンクリニックの記載で裏付け)。国内での製造販売承認・認証情報はPMDA検索で確認できません(2026-07-12時点)。米国FDA・韓国MFDS・欧州CE等の海外承認を根拠に導入するクリニックが多いですが、これらは国内承認を意味しません。
シルファームXは国内で薬機法上の未承認医療機器にあたり、医師が韓国VIOL社製の機器を個人輸入(国内代理店経由)で導入している例が確認されている。パルス波と連続波という2つのモードを切り替えられる点が機構上の特徴とされ、狙う深さや対象を変えられる設計と説明される。
米国BENEV社の資料では複数のFDA 510(k)クリアランス番号への言及があるが、そのクリアランス自体の適応表示は「皮膚科および一般外科手術における電気凝固と止血」であり、美容目的の効能そのものを直接承認するものではない点には注意が必要だ。海外の承認情報は導入の根拠として語られることが多いが、国内承認とは別の枠組みである。導入院数は24院。
出典
- シルファームX|花小金井駅前スキンクリニック(未承認医療機器の明示・承認状況・適応の記載あり)(花小金井駅前スキンクリニック、確認日 2026-07-12)
- Introducing Our NEW, FDA 510K Cleared Sylfirm X Tips(BENEV、確認日 2026-07-12)
- Sylfirm X | BENEV(BENEV、確認日 2026-07-12)
- BENEV Launches Sylfirm X Ultimate Edition, a Novel Radiofrequency Micro-needling Device, in the U.S. as the Exclusive Distributor(PR Newswire / BENEV、確認日 2026-07-12)
モフィウス8
一部承認 確認日 2026-07-12極細の針(マイクロニードル)を皮膚に浅く刺し、その針先から高周波(RF、ラジオ波の一種)を流して皮膚の深い層に熱を加える仕組み。表皮を大きく傷つけずに深部の組織を狙って引き締める設計とされる。
承認状況:「モフィウス8」単体の名称での国内医療機器承認は確認できておらず、複数のクリニック公式サイトで「医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認機器」と明記されています(個人輸入扱いでの自由診療運用)。一方、同じInMode社のRFフラクショナル機器として2025年10月3日付で「モフィウスプロ」が国内で医療機器製造販売承認(承認番号30700BZX00257000、クラスIII、治療用電気手術器)を取得しており、承認関連資料に「モフィウス8アプリケータ」の記載がありますが、これが付属品であることを明記した一文は確認できておらず、モフィウス8とモフィウスプロが完全に同一機種かは資料上断定できません(unknown)。国内クリニックが「モフィウス8」の名称で施術提供している場合、未承認機器としての自由診療の可能性があります。
モフィウス8は、複数のクリニック公式サイトで「未承認機器」と明記されている一方、同社の関連機種とみられる「モフィウスプロ」が2025年10月3日付で国内の医療機器製造販売承認を取得しており、その関連資料に「モフィウス8アプリケータ」という記載がある。ただし両者が完全に同一機種かどうかは資料上断定できず、国内で「モフィウス8」の名称で提供されている施術は未承認機器としての自由診療である可能性がある。
この章の4機種の中で、承認状況が最も読み解きにくい例といえる。同じメーカーの機種でも名称が変わると承認区分も変わりうるという、この業界特有の注意点を体現している。米国では2024年7月にマイクロニードルフラクショナルRF技術としてFDA認可を取得したとされる。導入院数は20院。
出典
- モフィウス8「軟組織の収縮を目的とする世界初のマイクロニードルフラクショナルRF技術」でFDA認可 – インモード・ジャパン株式会社(インモード・ジャパン株式会社、確認日 2026-07-12)
- インモードVリフト・モフィウス8(未承認機器の記載あり)(よしもと形成外科クリニック、確認日 2026-07-12)
- MORPHEUS PRO 製品ページ(承認番号30700BZX00257000記載)(インモード・ジャパン株式会社、確認日 2026-07-12)
- 『モフィウスプロ』医療機器製造販売承認取得のお知らせ(インモード・ジャパン株式会社、確認日 2026-07-12)
承認・未承認・partialをどう読むか
この章の4機種は、承認状況だけを見ても「承認済み」「未承認」「一部だけ承認」という3つの状態に分かれる。ポテンツァは国内承認を取得済み、ダーマペン4とシルファームXは未承認機器としての個人輸入、モフィウス8は関連機種の承認はあるが単体名称での承認確認はできないという、判断の難しい中間的な状態にある。
承認・未承認の別は、機器の性能の優劣を示すものではない。国内の薬機法という制度上、その機器がどの手続きを経て国内に入ってきたかを示す情報であり、医師の責任による個人輸入も制度上認められた導入経路の一つである。大切なのは、その院がどちらの状態にある機器を使っているかを、広告表示や説明資料で確認できるかどうかだ。
未承認機器を広告する場合、未承認である旨・入手経路・国内承認品の有無・海外の安全性情報を明示する限定解除の対応が必要とされる。この表示の有無は、その院がコンプライアンスに沿った説明をしているかを見る一つの手がかりになる。
海外承認情報とどう向き合うか
4機種いずれも、米国FDAや韓国MFDS、欧州CEといった海外の承認・認証情報が語られている。これらは機器の性能や安全性に関する一つの参考情報ではあるが、国内での承認を意味するものではない点は繰り返し確認しておきたい。
たとえばシルファームXが根拠とするFDA 510(k)クリアランスの適応表示は「皮膚科および一般外科手術における電気凝固と止血」であり、美容目的の効能そのものを承認したものではない。海外承認の内容がどの範囲を指しているのかまで踏み込んで確認する視点が、このカテゴリを理解するうえで欠かせない。
導入前・カウンセリング前に確認したい観点
- その機種は日本国内で承認を得ているか、それとも医師の個人輸入による未承認機器としての提供か。院のサイトや説明資料に明記があるか
- 未承認機器の場合、限定解除の要件(未承認である旨・入手経路・国内承認品の有無・海外の安全性情報)がカウンセリング資料や同意書に反映されているか
- 針の深さ設定やRFの出力調整が可能な機種かどうかで、対応できる悩み(赤みからたるみまで)の幅が変わる。自分の悩みに機種の適応範囲が合っているか
- 同じ「針×RF」でもモード(パルス波/連続波の切り替え可否など)によって狙う深さや効果の出方が異なりうる。カウンセリングで機種選定の理由を聞けるか
- 導入院数の多さは選ばれやすさの目安にはなるが、承認状況や自分の肌悩みへの適応とは別軸の情報である点を混同しないこと
- 美容液の経皮導入(トランスダーマル)を併用する場合、使用する薬剤・美容液の内容と価格の内訳が別途説明されているか
よくある質問
- 針RFとダーマペンは何が違うのですか
- どちらも針を使いますが、針RFは針先から高周波(RF)を流して熱で組織にアプローチする機構を持つのに対し、ダーマペンは針を高速で上下させて微細な穴(マイクロチャネル)を作り、肌自身の修復反応を促す機構が中心です。ダーマペン4は美容液等の経皮導入との併用でも用いられます。
- 国内未承認の機器を使っている院は問題があるのですか
- 未承認であること自体が直ちに問題というわけではなく、医師の責任による個人輸入は制度上認められた導入経路です。ただし広告表示では、未承認である旨・入手経路・国内承認品の有無・海外の安全性情報を明示する限定解除の対応が必要とされており、その表示があるかどうかが確認のポイントになります。
- 同じ機種名でも承認状況が院によって違うことはありますか
- あります。たとえばポテンツァは2023年12月の承認取得前後で導入時期の異なる院が混在しうるとされ、モフィウス8は同社のモフィウスプロという別名称の機種が国内承認を取得している一方、モフィウス8単体の名称での承認は確認できていません。機種名だけで判断せず、その院の説明表示を確認する視点が必要です。
関連ページ
章の出典
- PMDA 医療機器 添付文書等情報検索(PMDA、確認日 2026-06-17)
- POTENZAが医療機器製造販売承認を取得した旨のメーカー公式告知(Jeisys Medical Japan株式会社、確認日 2026-06-17)
- POTENZAが「審美性の改善のための皮膚のフラクショナルリサーフェシングを目的とした治療用電気手術器」での医療機器製造販売承認を取得。(Jeisys Medical Japan株式会社(PR TIMES配信)、確認日 2026-07-12)
- POTENZA | 新宿・大阪心斎橋・名古屋・福岡の美容クリニック|DAILY SKIN CLINIC(DAILY SKIN CLINIC、確認日 2026-07-12)
- Dermapen 4 | DermapenWorld(DermapenWorld、確認日 2026-07-12)
- ダーマペン4 | 美容皮膚科タカミクリニック(東京 表参道)(タカミクリニック、確認日 2026-07-12)
- News - Dermapen4: FDA-Cleared Microneedling Revolution for Scar Reduction & Skin Rejuvenation(Lasers & Beauty (業界メディア)、確認日 2026-07-12)
- シルファームX|花小金井駅前スキンクリニック(未承認医療機器の明示・承認状況・適応の記載あり)(花小金井駅前スキンクリニック、確認日 2026-07-12)
- Introducing Our NEW, FDA 510K Cleared Sylfirm X Tips(BENEV、確認日 2026-07-12)
- Sylfirm X | BENEV(BENEV、確認日 2026-07-12)
- BENEV Launches Sylfirm X Ultimate Edition, a Novel Radiofrequency Micro-needling Device, in the U.S. as the Exclusive Distributor(PR Newswire / BENEV、確認日 2026-07-12)
- モフィウス8「軟組織の収縮を目的とする世界初のマイクロニードルフラクショナルRF技術」でFDA認可 – インモード・ジャパン株式会社(インモード・ジャパン株式会社、確認日 2026-07-12)
- インモードVリフト・モフィウス8(未承認機器の記載あり)(よしもと形成外科クリニック、確認日 2026-07-12)
- MORPHEUS PRO 製品ページ(承認番号30700BZX00257000記載)(インモード・ジャパン株式会社、確認日 2026-07-12)
- 『モフィウスプロ』医療機器製造販売承認取得のお知らせ(インモード・ジャパン株式会社、確認日 2026-07-12)