ピコレーザーの承認地図
機種名より先に販売名を見る
シミ取りの料金表には「ピコスポット」「ピコトーニング」「ピコフラクショナル」が並ぶ。でもPMDAで確認する対象は、メニュー名ではなく機器の販売名・承認番号・一般的名称だ。主要ピコレーザーと、比較対象のQスイッチ機を整理する。
§1 「ピコ」と書いてあっても、確認するのは販売名
ピコレーザーの「ピコ」は、レーザーのパルス幅がピコ秒領域であることを示す呼び方だ。だが、患者が同意前に確認すべき薬事情報は、広告上の施術名ではなく販売名である。PMDAでは、販売名・承認番号・一般的名称・添付文書上の使用目的を照合する。
たとえば「ピコスポット」は治療メニュー名であり、PMDAの販売名ではない。「ピコトーニング」や「ピコフラクショナル」も同じだ。メニュー名だけで承認範囲を判断せず、どの販売名の機器で、どの波長・モードを、何の診断に使うのかを確認する。
ピコレーザー選びは、機種名の知名度ではなく、診断・販売名・照射条件の確認から始まる。
§2 PMDAで確認したピコレーザーとQスイッチ機
2026年6月16日にPMDA医療機器情報検索、PMDA添付文書、PMDA承認品目一覧で確認した情報をまとめる。比較対象として、ピコ秒ではないQスイッチNd:YAG機も併記する。
FIG. 01 — ピコレーザー承認状況マップ(PMDA確認)
| 販売名 | 区分 | 承認番号 / 承認年月日 | 一般的名称 | 添付文書上の目的・確認元 |
|---|---|---|---|---|
| 皮膚良性色素性疾患治療用レーザ装置 PicoSure ピコ秒 / 755nm | ピコレーザー | 30200BZX00153000 2020年5月13日 | アレキサンドライトレーザ | 表在性・深在性の良性色素性病変、外傷性・入墨による刺青の蒸散及び除去 PMDA添付文書 |
| ピコセカンドKTP/Nd:YAGレーザー PicoWay ピコ秒 / 532nm・730nm・1064nm | ピコレーザー | 23000BZX00270000 2018年9月13日 | ネオジミウム・ヤグレーザ | 深在性及び浅在性色素性病変の治療並びに刺青の除去 PMDA添付文書 |
| Enlighten III レーザシステム ピコ秒 / 532nm・670nm・1064nm | ピコレーザー | 30300BZX00315000 2021年11月22日 | ネオジミウム・ヤグレーザ | 表在性及び深在性の皮膚良性色素性病変の治療、並びに刺青の除去 PMDA添付文書 |
| 皮膚良性色素性疾患レーザ装置 MedLite C6 Qスイッチ / 532nm・1064nm | 比較対象(ナノ秒レーザー) | 23100BZX00033000 2019年2月5日 | ネオジミウム・ヤグレーザ | 皮膚良性色素性疾患レーザ装置としてPMDA承認品目一覧で確認 PMDA承認品目一覧 |
§3 シミ・肝斑では「診断」が先に来る
ピコレーザーは、老人性色素斑、ADM、刺青、外傷性色素沈着などで検討されることがある。一方で、肝斑は刺激で悪化する可能性があるため、同じ「茶色いシミ」に見えても高出力照射が適さないことがある。
つまり、承認機器かどうかだけでは治療方針は決まらない。まず診断を確認し、次に波長、照射モード、出力、回数、内服・外用の併用を聞く。シミ・肝斑・ADMの見分け方は シミ・肝斑・あざ治療の選び方 にまとめている。
「ピコだから安心」ではなく、「この色素斑に、この設定で使う理由」を聞く。
FIG. 02 — メニュー名から販売名へ戻す
これはメニュー名。承認情報ではない。
PMDA添付文書と照合できる形に戻す。
肝斑混在や炎症後色素沈着を見落とさない。
§4 Qスイッチとの違いは「上位互換」ではない
比較対象に入れたMedLite C6は、ピコ秒ではなくQスイッチNd:YAGレーザーである。ナノ秒領域のパルス幅で、長く色素性疾患や刺青治療に使われてきた機器群だ。ピコ秒機器とQスイッチ機器は、波長・パルス幅・照射条件が異なる。
ただし、ピコ秒ならQスイッチよりよい、という単純な優劣ではない。病変の種類、深さ、肌質、既往、炎症後色素沈着のリスク、予算、ダウンタイム許容度で選択は変わる。料金ページでは「ピコ取り放題」「レーザートーニング」などの名前が先に出るが、比較すべきなのは診断と照射条件である。
§5 カウンセリングでそのまま聞く質問
そのままカウンセリングで使える。
「このメニューで使う機器の販売名と承認番号を教えてください」
— メニュー名ではなく、PMDAで確認できる販売名を聞く
「私のシミは老人性色素斑・肝斑・ADMのどれに近い診断ですか?」
— 診断が曖昧なまま照射方法を決めない
「スポット照射、トーニング、フラクショナルのどれを使う理由は何ですか?」
— 施術名ではなく、波長・出力・目的を説明してもらう
「炎症後色素沈着や肝斑悪化が起きた場合の対応はどうなりますか?」
— 追加治療、内服・外用、診察料の扱いまで確認する
「見積もりは何個・何mm・何回分で計算されていますか?」
— シミ取り調査で見えたように、課金単位が院ごとに違う
よくある質問
ピコレーザーならシミ取りに向いていますか?
一律には言えません。シミに見えるものには老人性色素斑、肝斑、ADM、炎症後色素沈着などがあり、診断が違えば治療方針も変わります。ピコ秒レーザーは承認された機器でも、結果や回数には個人差があります。
ピコ秒レーザーとQスイッチレーザーはどちらが上ですか?
一律の優劣ではありません。ピコ秒レーザーはパルス幅が短い機器群、Qスイッチレーザーはナノ秒領域の機器群として整理できますが、適応、波長、設定、病変の深さ、肌状態で選択は変わります。
承認番号がある機種なら、ピコトーニングも承認範囲内ですか?
機器本体の承認と、院で提供する施術名・照射モード・照射条件が承認範囲内かは別です。施術名ではなく、販売名、承認番号、添付文書上の使用目的、実際の照射モードを確認してください。
肝斑にピコレーザーを当てても大丈夫ですか?
診断と設定次第です。肝斑は刺激で悪化することがあるため、高出力スポット照射を含めて慎重な判断が必要です。自分の色素斑が肝斑を含むか、内服・外用・低出力照射の位置づけを医師に確認してください。
レーザー名と見積もり、照射前に整理しよう。
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