読み方ガイド 05

そのシミ、レーザーを当てていいものですか

「シミと思っていたら肝斑だった」「レーザーを当てたら逆に濃くなった」
茶色いものの名前が変わると、選ぶ治療も、払う金額も変わります。42院452件の掲示価格を集めて、順番のほうから確かめました。

シミと肝斑の見分け方とレーザーの注意点のイメージイラスト
読み方ガイド 05 美容医療ラボ編集部(美容ナース・元施術室勤務) 初出 2026.06 最終更新 — 2026-09-02
働く人・スタッフの方へ シミの種類と見分け方 同じテーマを、現場で説明・判断するときの角度から学べます。
先に結論: 「シミ取り放題、全顔」の掲示価格は、いちばん安い院で14,080円、いちばん高い院で220,000円(25院48件・2026年9月時点、中央値55,000円)。同じ一言で15倍以上ひらきます。 それでも、値段をくらべる前に確かめるのは診断名のほうです。肝斑に高出力のレーザーを当てると、薄くなるどころか濃くなることがあります。

その茶色いもの、名前は何ですか

茶色い色素沈着は、まとめて「シミ」と呼ばれます。でも中身は別物で、原因も、効く治療も、値段の欄も分かれます。このページで注意して見るのは、そのうちの1つ、肝斑です。

老人性色素斑(日光性黒子)

輪郭のはっきりした茶色。紫外線でできます。

よく検討される治療: レーザー治療(Qスイッチレーザー・ピコレーザー等)

肝斑(かんぱん)

頬骨のあたりに、左右対称。輪郭はぼんやりしています。ホルモンバランスや摩擦が関わるとされ、老人性色素斑やADMと同じ顔の中に混ざって出ることもあります。ここを取り違えたまま高出力のレーザーを当てると、濃くなることがあります。値段の話が始まる前に、名前をつけてもらうのはこの1つのためです。

よく検討される治療: 遮光、内服薬(トラネキサム酸等)、外用、低出力照射(トーニング)。高出力の照射は、診断と条件の確認から。

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)

肌の深いところにメラニンが沈着したもの。肝斑や老人性色素斑と見た目が似ます。

よく検討される治療: ピコレーザー等。深さが違うぶん、設定も変わります。

そばかす(雀卵斑)

鼻や頬に散る、小さな点。遺伝的な素因が関わります。

よく検討される治療: レーザー・光治療等。

4種の位置づけ

種類 出方の目安 主な原因 よく選ばれる治療 老人性色素斑 (日光性黒子) 輪郭がはっきりした 茶色の単発・散在 紫外線による 色素沈着 Qスイッチ・ ピコレーザー等 肝斑 (かんぱん) 頬骨あたりに 左右対称に広がる 輪郭がぼんやり ホルモンバランス ・摩擦が関与 内服薬・低出力 レーザー(トーニング) 高出力は要確認 ADM (後天性真皮) 肝斑・老人性と 見た目が似る場合あり 真皮層に沈着 真皮のメラニン 沈着 ピコレーザー等 (深さに応じた設定) そばかす (雀卵斑) 鼻・頬に小さな点が散在 遺伝的素因 レーザー・光治療等 完全消去は難しい場合も
図1シミ4種の位置づけ(輪郭×分布の目安)
確認ポイント: 同じ場所に、複数の種類が混ざって出ていることがあります。自分のがどれかを決めるのは鏡ではなく医師の診断で、自己判断のまま施術を選ぶと、効かないか、悪化の芽を見落とすかのどちらかになります。

肝斑とレーザーの関係——なぜ注意が必要とされるのか

肝斑では、まず診断と鑑別が重要です。日本皮膚科学会の美容医療診療指針では、肝斑は両頬に対称性に生じる後天性の色素異常症として整理され、ADM、炎症後色素沈着、老人性色素斑などとの鑑別や合併に注意が必要とされています。

同指針では、日光黒子などに使われる高フルエンスのQスイッチレーザー照射で強い炎症が起き、肝斑が悪化することが知られている旨も示されています。一方で、遮光、外用・内服、低フルエンス照射、IPLなどは症例や条件によって位置づけが変わります。つまり「レーザーは全部だめ」「内服の次は必ずトーニング」と覚えるより、診断名、照射モード、出力、併用薬、悪化時の対応を確認するのが実用的です。

これは指針の中だけの話ではありません。料金表の側にも、同じことが書いてあります。私たちが集めた452件の掲示のうち、肝斑に触れているのは46件・15院。そのうち3院は、肝斑を料金表から外していると読める書き方をしていました。湘南美容クリニックのシミ取りレーザーは、メニュー名がそのまま「肝斑以外のシミ」。東京中央美容外科の全顔取り放題63,000円には「肝斑や一部の色素沈着は適応外となる場合がある」の注記があり、大阪梅田YUTAKA美容外科の顔の取り放題165,000円にも「肝斑疑い・炎症部位は対象外の場合あり」と添えてあります(2026年9月時点)。

院の側も、肝斑は別ものとして扱っています。裏を返すと、自分の茶色いものに名前がついていないうちは、目の前の料金表が自分に当てはまるのかどうかも決まりません。

聞くのは2つだけです。「これは肝斑ですか」「この施術は、肝斑があっても受けられますか」。

根拠として見た一次情報:

肝斑と照射

肝斑が疑われるとき — 照射の判断順序 診断を確認する 「これは肝斑ですか?」 高出力レーザー 肝斑では慎重・避けることも(悪化・再燃) 肝斑なら基本こちら 内服薬+低出力照射 まず選ばれる(トーニング等) 肝斑を落ち着かせてから照射を重ねる順番が一般的 「この施術は肝斑に適していますか?」をカウンセリングで確認する ※ 治療方針は医師により異なります。上記は一般的な整理であり、個別の医療アドバイスではありません。
図2肝斑と照射の関係(一般的な整理)。出典: 日本皮膚科学会「美容医療診療指針」

治療の種類と、その先の値段

安全なほうを選んだら安く済む、という話ではありません。肝斑でよく置かれる低出力の照射——トーニングは、全顔1回の中央値が16,280円(27院83件・2026年9月時点)。ところが5回のコースになると、中央値は59,800円まで上がります(12院21件、22,000〜114,400円)。1回の値段の3倍から4倍が、実際に払う額に近いところです。肝斑は一度で終わらせる治療ではなく、続ける前提の維持費として見ておきます。

  • Qスイッチレーザー・ピコレーザー — 色素に短いパルスの光を当てます。Qスイッチかピコ秒か、波長、照射モード、そして診断名で向き不向きが変わります。1個ずつ狙うスポット照射の値段は院ごとに数え方が違って、そのままでは並びません(次の節で数えます)。詳細は→シミ取りレーザー価格調査、機器の見方は→ピコレーザー承認地図
  • フォトフェイシャル・IPL — 複数の波長を含む光を、顔全体に。肝斑には慎重に使われることがあります。
  • 内服薬(トラネキサム酸・ビタミンC等) — 肝斑ではトラネキサム酸の有効性が報告されています。続ける期間、禁忌、副作用、いつやめるかの判断は、処方する医師に確認します。
  • 外用剤(ハイドロキノン・レチノール等) — 外から塗るもの。処方薬と市販品では濃度が違います。
  • ケミカルピーリング — 単独よりも、他の治療と組み合わせて使われます。

この内服と外用の値段は、私たちが集めた452件の掲示価格に1件も入っていません。レーザーの料金表には出てこない項目です。月にいくらかかるかは、その場で聞くしかありません。

治療法 × シミ種類の対応(一般的な傾向)

治療法 \ 種類 老人性 色素斑 肝斑 ADM そばかす Qスイッチ・ ピコレーザー 高出力は慎重 IPL・ フォトフェイシャル 慎重 内服 トラネキサム酸・ビタミンC 外用 ハイドロキノン・レチノール ケミカルピーリング 〇 よく選ばれる / △ 慎重・補助的 / — 限定的 / ✕ 悪化リスクで避けられることがある ※ 一般的な傾向の整理であり個別の医療アドバイスではない。種類の確定と適応は医師の診察で確認。
図3治療法とシミ種類の対応の目安(肝斑に高出力レーザーは慎重とされる)

料金表のどこを見ると、値段が動くのか

1回の値段に必要な回数をかける。それは前の節で見たとおりです。ここで見るのは、その1回の値段が、そもそも何を指しているのかのほうです。

  • 「取り放題」は、個数か時間か — 全顔の取り放題は、掲示価格で14,080円から220,000円(25院48件・2026年9月時点、中央値55,000円)。同じ言葉で15倍以上ひらくのは、中身が違うからです。東京中央美容外科の63,000円は「制限時間10分、個数制限なし」、ビューティースキンクリニックの32,780円も10分間、エースクリニックの77,000円は30分と、条件を書いています。個数の上限がなくても、時間で区切られていることがあります。
  • 「1個いくら」の数え方は、66通りあった — 1個ずつ狙うスポット照射の掲示163件を数えると、値段の単位が66通りありました。「長径1mmあたり」「1ショット(2mm)」「1.5cm四方」「1cm追加ごと」。しかもサイズの段をまたぐと金額はまとめて上がります——1mm前後の小範囲が中央値7,700円(20院54件)、5〜10mmが11,000円(27院65件)、20mm以上が24,750円(13院43件)。サイズを書かずに値段だけ出している掲示も、6院16件ありました。
  • 薬代は、料金表に出てこない — 集めた452件のどこにも、内服・外用の値段はありません。総額に足すには、聞くしかない項目です。

そして、保険のルートは比較表に出てきません。ADM(肌の深いところにできるあざの一種)や一部のあざは、保険診療の対象になることがあります。自由診療の料金表を何院ぶん並べても、この選択肢は視界に入りません。まず皮膚科の診断を受けてから美容クリニックを選ぶ道も、はじめに置いておきます。

表示価格を「比較できる総額」に直す3チェック

起点 クリニックの表示価格 ① 1回か、コースか ×必要回数=実費。「1回◯円」は何回必要かを聞かないと総額が出ない 落とし穴: コース前払いは途中でやめた際の返金規定を確認 ② 照射範囲の定義 「1部位」か「フルフェイス」か。同じ価格表でも実際の範囲が違う 落とし穴: 「ほほ骨周辺だけ」か「顔全体」かで中身が変わる ③ 内服・外用の月額加算 レーザーと並行する内服・外用剤の月額も総額に足す 落とし穴: ADM・あざの一部は保険適用の有無も先に確認 3点をほどいた先 院をまたいで比較できる総額になる ※ どの条件が効くかは施術・院による。カウンセリングで「私の場合の税込総額」を書面で確認してください。
図43チェックをほどくと表示価格が「比較できる総額」になる

カウンセリングで聞く5つ

  • 「これは何という種類のシミ(色素沈着)ですか?」——名前が決まらないと、料金表のどの欄を見るかも決まりません。
  • 「肝斑はありますか? ある場合、今回の施術は受けられますか?」——料金表に「肝斑以外」と書いている院があるくらい、ここは分かれ目です。
  • 「何回で、どのくらい変わりますか?」——変化の出方には個人差があります。それでも回数が分かれば、1回の値段が総額に変わります。
  • 「施術後に色素沈着(炎症後色素沈着:PIH)が出ることはありますか?」——出たときの追加の治療費まで、この場で聞いておきます。
  • 「再発・再燃したときは、どうしますか?」——肝斑は続ける前提の治療です。次の1回がいくらかを、先に知っておきます。

カウンセリングで確認する5問

診断名からリスク対応まで5問で確認する 種類確認 診断の根拠 肝斑有無 施術の適否 回数変化 個人差も確認 PIHリスク 炎症後色素沈着 再発再燃 対処法 種類の確定と適応は、セルフ判断ではなく医師の診察で確認 ※ 本文の確認事項を、診断・適応・経過・リスク対応に整理。
図5シミ治療の確認5問 — 診断名・肝斑・回数・PIH・再発時の対応を聞く。

よくある質問

肝斑かどうか、自分で見分けられますか?

見分けきれません。頬骨のあたりに左右対称で、輪郭がぼんやり。目安はここまでで、名前をつけるのは医師の仕事です。

シミ取りの料金は、どこから見ればいいですか?

サイズの段からです。スポット照射は1mm前後の小範囲が中央値7,700円、5〜10mmが11,000円、20mm以上が24,750円(順に20院・27院・13院/2026年9月時点)。段をひとつまたぐだけで、金額はまとめて上がります。そのうえで、1回価格か複数回前提のコースか、照射範囲がどこまでか、内服薬・外用剤を足すといくらか。この3点を揃えると見積もりとのズレが小さくなります。コース前払いなら、途中でやめたときの返金規定も先に聞いておきます。

シミが数個あるなら、取り放題のほうが得ですか?

数によります。全顔の取り放題は中央値55,000円で、いちばん安い掲示が14,080円、高いほうは220,000円(25院48件・2026年9月時点)。1個ずつなら5〜10mmで中央値11,000円ですから、取りたいのが数個のうちは、足し算のほうが安く収まる可能性が高いほうです。それと、その「放題」が個数なのか時間なのかは、院によって違います。

肝斑と言われました。レーザーはもう受けられませんか?

同じレーザーでも、当て方が分かれます。肝斑では、遮光・内服・外用と、低出力の照射(トーニング)が先に置かれるのが一般的です。トーニングは全顔1回の中央値が16,280円、5回のコースだと59,800円(1回は27院、5回は12院/2026年9月時点)。高出力の照射をどう扱うかは診断と条件によるので、そこは診察で決めます。

※このページは一般的な情報をまとめたものです。色素沈着の種類の確定・施術の適応は医師の診察で確認してください。「〜とされる」「〜といわれる」という表現は、一般的な情報であり、個人に対する医療アドバイスではありません。効果には個人差があります。特定の施術・クリニックを推奨するものではありません。

そのシミ取り、機器名まで聞けた?

診断名・機器名・照射範囲・薬代まで含めて、見積もりチェック診断で確認できます。

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