韓国製はなぜ安い?
承認製剤と未承認製剤の違いの調べ方
SNSで「韓国製なら半額で受けられる」と見かけて、気になっている——。 安いのには理由がある。問題は、その理由を知らずに選ぶことだ。国内承認か未承認か、価格差はどこから来るのか、副作用が起きたとき公的な救済が効くのか——理由ごと並べる。
§1 同じ施術名でも、使う製剤が違えば別商品
ヒアルロン酸やボトックス系の施術は、「施術名」は同じでも使われる製剤がクリニックによって異なります。 価格表の安い行と高い行を見比べるとき、まず疑うべきは製剤の違い——特に国内承認か未承認かです。
当ラボのヒアルロン酸(ほうれい線)の値段を大手6院で比較【2026年6月調査】でも、 同じ施術名の中に国内承認製剤と価格帯の大きく異なるメニューが混在している実例を確認しています。
価格表の「◯円〜」は、製剤グレードの幅が折りたたまれているだけかもしれない。
FIG. 01 — 同じ「施術名」の中にある製剤グレード構造
§2 国内承認と未承認の違い(事実のみ)
国内承認製剤は、厚生労働省(PMDA=独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が品質・有効性・安全性を審査して承認した製品です。 国内での流通・販売が正規に認められており、副作用報告の仕組みも整備されています。
未承認製剤は、日本国内では審査を受けていない製剤です。 韓国MFDS(旧KFDA)や欧米の規制当局が承認しているケースが多く、医師が「自己責任」のもと個人輸入して患者に使用すること自体は、薬機法上可能とされています。 未承認=粗悪品ということではありませんが、「日本での審査が行われていない」という事実は変わりません。
ここで述べているのは制度の説明であり、未承認製剤の効果や安全性を評価するものではありません。
FIG. 02 — 国内承認 vs 未承認の制度比較
- 有効性・安全性・品質を国内審査
- 副作用報告・製品情報が公開
- 承認番号で確認できる
- 日本国内での審査は未実施
- 海外での承認データはある場合も
- 医師の説明義務あり(使用前)
未承認=危険ではない。制度上の扱いが異なる、という事実の確認。
§3 価格差の構造(一般論として)
未承認製剤が安いのには、いくつか理由があります。 国内承認取得にはPMDAへの申請費用・国内試験・副作用報告体制の整備コストがかかります。 未承認製剤はこれらのコストがかからない分、仕入れが安くなりやすいとされています。
加えて、後発・競合製剤の多さや為替・輸入経路によっても仕入れ価格は変わります。
「安い=粗悪」とは言えません。ただし「何が違うのか」を知らずに選ぶのはリスクです。
§4 いちばん大事な違い:副作用救済制度
国内承認製剤を使った施術で副作用が生じた場合、一定の要件を満たせば「医薬品副作用被害救済制度」(PMDA運営)の対象となります。 この制度は、医療費・障害年金・遺族年金などの給付を公的に補う仕組みです。
未承認製剤による副作用は、この制度の対象外とされています。 価格差の裏には、万一のときに公的な救済が効くかどうかの差があります。
なおクリニックが独自に設けるアフターケア保証とは別の話です。公的救済制度の有無は、院の体制ではなく使用製剤の承認状況によって決まります。
§5 カウンセリングでの確認方法
専門知識はいりません。聞くのは、この6つだけ。
「使用する製剤名を教えてください」
— 製剤名が分かれば帰宅後に自分でも検索・確認できる
「国内承認製剤ですか?」
— これ一言で承認状況が確認できる。YES/NOを記録しておく
「未承認の場合、どの国・機関が承認していますか?」
— 韓国MFDS(旧KFDA)、欧州CEなど。承認国がゼロの製剤は要注意
「副作用が出た場合の対応と費用負担はどうなりますか?」
— 院の対応方針と、公的救済制度の適用有無を両方確認する
「国内承認製剤との価格差の理由は何ですか?」
— 明確に答えてもらえるかどうかが、院の透明度の指標になる
「見積もりに製剤名を書いてもらえますか?」
— 書面に残すと後から確認しやすく、院側も誠実な開示がしやすくなる
§6 SNSで「韓国製◯◯が安い」と見たとき
SNSの広告や紹介投稿は、薬機法の広告規制が及ぶ領域と、個人の感想が混在しています。 特定の製剤名をあげて「安い」「効果がある」と紹介する投稿は、情報の正確性が担保されていないケースも少なくありません。
SNSは出発点でかまいません。ただし確かめるのは、公式サイトとカウンセリングです。
- クリニック公式サイトで使用製剤名を確認する
- PMDAの「医療用医薬品 添付文書情報」で承認状況を調べる
- カウンセリングで「この製剤は国内承認ですか?」と直接聞く
「SNSで見た」から「カウンセリングで確認した」へ——この一歩が、知って選ぶことの意味です。
FIG. 03 — 製剤の承認状況を確認するフロー
よくある質問
韓国製製剤は危険ですか?
「韓国製だから危険」とも「安全」とも断定できません。承認の有無は、日本国内での審査実施と副作用救済制度の適用有無の違いです。国内未承認製剤でも韓国MFDS(食品医薬品安全処・旧KFDA)等の海外当局が承認しているケースがあり、医師が個人輸入して使用すること自体は法律上認められています。大切なのは、使用する製剤が国内承認か未承認かを事前に確認し、万一の際の対応を把握しておくことです。
クリニックは未承認製剤の使用を教えてくれますか?
カウンセリングで聞けば多くの院が答えてくれますが、自発的な開示の粒度は院によって異なります。確実なのは「この製剤の名前を教えてください」「国内承認製剤ですか?」と具体的に質問することです。見積もり書面に製剤名を記載してもらうと、帰宅後に自分でも承認状況を確認できます。
承認製剤のほうが高いのはなぜですか?
国内承認を取得するには、PMDAへの審査申請・国内での品質試験・副作用報告体制の整備などに費用と時間がかかります。その分のコストが製品価格に反映される傾向があります。一方で未承認製剤は申請コストがかからない分、仕入れ価格が安く抑えられやすいとされています。価格差はこうした構造的な要因によるものです。
海外では普通に使われているのに、日本で未承認なのはなぜですか?
日本での承認を得るには、メーカーや販売代理店がPMDAに申請し審査を受ける必要があります。海外で承認・販売されている製剤であっても、日本への申請が行われていなければ国内承認は取得されません。申請には費用・時間・日本語での書類整備が必要で、市場規模によっては申請されないまま流通するケースがあります。「海外で認められている=日本でも審査された」ではなく、「申請されていないため日本の審査が未実施」という状態です。
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