読み方ガイド 09

韓国製は、なぜ安い?

SNSで「韓国製なら半額で受けられる」と見かけて、気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 安いのには理由があります。問題は、その理由を知らずに選んでしまうことです。国内承認か未承認か、価格差はどこから来るのか、副作用が起きたとき公的な救済が効くのか——理由ごと並べてご紹介します。

韓国製はなぜ安い?のイメージイラスト
読み方ガイド 09 美容医療ラボ編集部 初出 2026.06 最終更新 — 2026-06-12

01同じ施術名でも、使う製剤が違えば別商品

ヒアルロン酸やボトックス系の施術は、「施術名」は同じでも使われる製剤がクリニックによって異なります。 価格表の安い行と高い行を見比べるとき、まず疑うべきは製剤の違い——特に国内承認か未承認かです。

当ラボのほうれい線ヒアルロン酸の値段相場は?大手6院を比較【2026年6月調査】でも、 同じ施術名の中に国内承認製剤と価格帯の大きく異なるメニューが混在している実例を確認しています。

価格表の「◯円〜」は、製剤グレードの幅が折りたたまれているだけかもしれない。

FIG. 01 — 同じ「施術名」の中にある製剤グレード構造

「ヒアルロン酸注入」(施術名は同じ) 国内承認製剤 厚労省(PMDA)が審査・承認 副作用救済制度の対象になりうる 3万円台〜10万円超 / 1cc (価格はイメージ) 同じ「1cc」でも 制度上別商品 未承認製剤 海外当局の承認のみ・医師の個人輸入 日本国内での審査は未実施 8千円台〜2万円台 / 1cc 程度の例 (価格はイメージ) ※ 価格帯は傾向のイメージ。実際の価格は院・製剤・時期によって異なる。
図1同じ施術名の中の製剤グレード構造(価格帯は傾向のイメージ。実際の価格は院・製剤・時期によって異なる)

02国内承認と未承認の違い(事実のみ)

国内承認製剤は、国の審査機関(PMDA)が品質・効きめ・安全性を審査して承認した製品です。 国内での流通・販売が正規に認められており、副作用報告の仕組みも整備されています。

未承認製剤は、日本国内では審査を受けていない製剤です。 韓国の規制当局(MFDS。旧KFDA)や欧米の当局が承認しているものも多く、医師が「自己責任」で個人輸入して患者に使うこと自体は、薬機法のうえで認められています。 未承認=粗悪品ということではありませんが、「日本での審査が行われていない」という事実は変わりません。

ここで述べているのは制度の説明であり、未承認製剤の効果や安全性を評価するものではありません。

FIG. 02 — 国内承認 vs 未承認の制度比較

比較項目 国内承認製剤 厚労省(PMDA)が審査 未承認製剤 日本国内での審査 実施済み 未実施 国内での正規流通 医師の個人輸入として 使用は法律上可能 副作用報告・情報公開 あり(承認番号で確認可) なし(海外データのみ) 副作用救済制度(PMDA) 対象になりうる 対象外 ※ 未承認=危険とは断定できない。制度上の審査・救済の有無が異なるという事実の整理。
図2国内承認と未承認の制度比較(救済制度の詳細はPMDAのウェブサイトで確認できます)

03価格差の構造(一般論として)

未承認製剤が安いのには、いくつか理由があります。 国内で承認を取るには、PMDAへの申請費用・国内での試験・副作用を報告する体制づくりにお金がかかります。 未承認製剤はこれがかからない分、仕入れが安くなりやすいのです。

加えて、後発・競合製剤の多さや為替・輸入経路によっても仕入れ価格は変わります。

「安い=粗悪」とは言えません。ただし「何が違うのか」を知らずに選ぶのはリスクです。

FIG. 03 — 承認製剤と未承認製剤のコスト構造(一般論として)

国内承認製剤 未承認製剤 PMDAへの申請費用がかかる 申請コストがかからない 国内の臨床・品質試験が必要 海外当局の承認のみ 副作用報告体制の整備 競合製剤が多く為替の影響 → 製品価格に上乗せ → 仕入れが安い 価格差=品質差ではなく、制度コストの差 ※ 一般論としての構造の整理。「安い=粗悪」とは言えず、実際の価格は院・製剤・時期で異なる。
図3承認製剤と未承認製剤のコスト構造——価格差は制度コストの差(一般論)

04いちばん大事な違い:副作用救済制度

国内承認製剤を使った施術で副作用が起きた場合、一定の条件を満たせば、国の公的な救済制度(医薬品副作用被害救済制度。PMDAが運営)の対象になります。 これは、医療費や年金(障害年金・遺族年金)などを公的に補う仕組みです。

未承認製剤による副作用は、この制度の対象外とされています。 価格差の裏には、万一のときに公的な救済が効くかどうかの差があります。

なおクリニックが独自に設けるアフターケア保証とは別の話です。公的救済制度の有無は、院の体制ではなく使用製剤の承認状況によって決まります。

05カウンセリングでの確認方法

専門知識はいりません。聞くのは、この6つだけ。

01

「使用する製剤名を教えてください」

— 製剤名が分かれば帰宅後に自分でも検索・確認できる

02

「国内承認製剤ですか?」

— これ一言で承認状況が確認できる。YES/NOを記録しておく

03

「未承認の場合、どの国・機関が承認していますか?」

— 韓国MFDS(旧KFDA)、欧州CEなど。承認国がゼロの製剤は要注意

04

「副作用が出た場合の対応と費用負担はどうなりますか?」

— 院の対応方針と、公的救済制度の適用有無を両方確認する

05

「国内承認製剤との価格差の理由は何ですか?」

— 明確に答えてもらえるかどうかが、院の透明度の指標になる

06

「見積もりに製剤名を書いてもらえますか?」

— 書面に残すと後から確認しやすく、院側も誠実な開示がしやすくなる

06SNSで「韓国製◯◯が安い」と見たとき

SNSの広告や紹介投稿は、薬機法(医薬品医療機器等法。医薬品や医療機器の広告・販売のルールを定める法律)の広告規制が及ぶ領域と、個人の感想が混在しています。 特定の製剤名をあげて「安い」「効果がある」と紹介する投稿は、情報の正確性が担保されていないケースも少なくありません。

SNSは出発点でかまいません。ただし確かめるのは、公式サイトとカウンセリングです。

  • クリニック公式サイトで使用製剤名を確認する
  • PMDAの「医療用医薬品 添付文書情報」で承認状況を調べる
  • カウンセリングで「この製剤は国内承認ですか?」と直接聞く

「SNSで見た」から「カウンセリングで確認した」へ——この一歩が、知って選ぶことの意味です。

FIG. 04 — 製剤の承認状況を確認するフロー

「何を打たれるか」を知った上で選ぶ 製剤名を聞く 「この製剤の名前を 教えてください」 承認状況を確認する 「国内承認ですか?」 YES → 救済対象になりうる 書面に製剤名を残す 見積もりへの記載を 依頼する → 書面があれば帰宅後にPMDA等でセルフチェックできる。
図4製剤の承認状況を確認する3ステップ

FIG. 05 — 製剤確認の質問とSNS後の確認先

聞くこと6つ、確かめる場所3つ カウンセリング 01 製剤名 02 国内承認製剤か 03 未承認なら承認国 04 副作用時の対応と費用 05 価格差の理由 06 見積もりに製剤名 SNSで見たあと 1 公式サイトで製剤名 2 PMDA添付文書情報で確認 3 国内承認か直接聞く SNSは出発点、確認は公式で 書面に残せる製剤名まで確認して選ぶ
図56つの質問とSNS後の3確認先を、製剤名を残す流れにまとめる

よくある質問

韓国製製剤は危険ですか?

「韓国製だから危険」とも「安全」とも断定できません。承認の有無は、日本国内での審査実施と副作用救済制度の適用有無の違いです。国内未承認製剤でも韓国MFDS(食品医薬品安全処・旧KFDA)等の海外当局が承認しているケースがあり、医師が個人輸入して使用すること自体は法律上認められています。大切なのは、使用する製剤が国内承認か未承認かを事前に確認し、万一の際の対応を把握しておくことです。

クリニックは未承認製剤の使用を教えてくれますか?

カウンセリングで聞けば多くの院が答えてくれますが、自発的な開示の粒度は院によって異なります。確実なのは「この製剤の名前を教えてください」「国内承認製剤ですか?」と具体的に質問することです。見積もり書面に製剤名を記載してもらうと、帰宅後に自分でも承認状況を確認できます。

承認製剤のほうが高いのはなぜですか?

国内承認を取得するには、PMDAへの審査申請・国内での品質試験・副作用報告体制の整備などに費用と時間がかかります。その分のコストが製品価格に反映される傾向があります。一方で未承認製剤は申請コストがかからない分、仕入れ価格が安く抑えられやすいとされています。価格差はこうした構造的な要因によるものです。

海外では普通に使われているのに、日本で未承認なのはなぜですか?

日本での承認を得るには、メーカーや販売代理店がPMDAに申請し審査を受ける必要があります。海外で承認・販売されている製剤であっても、日本への申請が行われていなければ国内承認は取得されません。申請には費用・時間・日本語での書類整備が必要で、市場規模によっては申請されないまま流通するケースがあります。「海外で認められている=日本でも審査された」ではなく、「申請されていないため日本の審査が未実施」という状態です。

※本記事は製剤の承認制度に関する一般的な説明を目的としており、特定製剤の推奨・非推奨ではありません。製剤の適応・安全性・副作用リスクは医師の診察でご確認ください。2026年6月時点の制度に基づく記述です。制度の詳しい内容は、PMDA(国の審査機関)の公式情報を確認してください。

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