機器編 — CHAPTER 06

肌質改善レーザー — ジェネシスからフォトナまで

肌質改善レーザーの系譜をジェネシスからフォトナ4Dまでたどり、承認状況の読み方と機種間の違いの見方を学ぶ業界人向けの章。

肌質レーザー章のエディトリアルイラスト
Introduction

肌質レーザー

肌質改善レーザーの系譜をたどると、まず見えてくるのは「一つの装置が複数の役割を兼ねる」という流れです。もともと脱毛や光治療のために設計された機器が、出力や当て方を変えることでたるみ・キメ・くすみといった肌質改善のメニューへと展開されていく——この応用の連鎖が、このカテゴリの機器を理解する上での軸になります。

第6章では、ジェネシス・フォトナ4D・チタニウムリフトという、由来も仕組みも異なる3つの機器を並べて見ていきます。単一波長で穏やかに温めるタイプ、複数モードを組み合わせて深部と表面を同時にねらうタイプ、脱毛機の熱作用をたるみ治療に応用したタイプと、アプローチの立て方はそれぞれ違います。

この章を読み終えると、機器名やメニュー名の見た目だけで判断せず、波長・照射モード・そして国内での承認状況という三つの軸で装置を見分けられるようになります。とりわけ承認状況は、業界に入る前後で最も誤解しやすいポイントであり、この章の後半で重点的に扱います。

Mechanism

肌質改善レーザーが働く仕組み

この章で扱う機器はいずれも「光や熱で肌の奥に働きかける」という点では共通していますが、使う光の波長や当て方はそれぞれ違います。肌の奥にじんわり熱を届けてコラーゲン(肌のハリを支えるタンパク質)の生成を促すとされるタイプもあれば、複数の波長を組み合わせて表面のキメと深部の引き締めを同時にねらうタイプもあります。

波長が長いほど光は肌の深いところまで届きやすく、短いほど表面近くで働きやすいという傾向があります。この章の機種はこの「深さ」の使い分けによってアプローチが分かれています。

もう一つ押さえておきたいのが、機器の「本来の承認用途」と「実際にクリニックで案内されているメニュー名」がずれることがある点です。同じ装置でも、脱毛用として承認された機器の熱作用をたるみ治療に応用して案内しているケースもあり、この場合、案内されている効果そのものについて国内の薬機法上の裏付けがあるとは限りません。この章を通じて、メニュー名の見た目だけで判断せず、装置・モード・承認の三つを分けて見る習慣を身につけてください。

Catalog

機種・製剤一覧

名称メーカー(国)承認状況主な適応相場
フォトナ4D Fotona(スロベニアのレーザー機器メーカー)(スロベニア) 国内未承認
確認日 2026-07-12
顔のたるみ・リフトアップ、ほうれい線・マリオネットライン、肌のキメ・毛穴、くすみ、ニキビ・赤み、肌質改善 価格DB →
レーザージェネシス Cutera, Inc.(米国)/日本代理店キュテラ株式会社(アメリカ) 国内未承認
確認日 2026-07-12
赤み・肌の色ムラのケア、毛穴の目立ちのケア、小じわ・肌質感の改善、軽度の血管拡張(赤ら顔)へのアプローチ、ニキビ跡などの肌の凹凸感のケア、肌のハリ・キメの改善 価格DB →
チタニウムリフト Alma Lasers(イスラエル)(イスラエル) 国内未承認
確認日 2026-07-12
顔・フェイスラインのたるみ、ハリ不足、小顔・引き締め、メラニンへのアプローチによるくすみ改善(脱毛機共通機能)、医療脱毛(本来の主用途) 価格DB →
Entries

機種・製剤の解説

フォトナ4D

国内未承認 確認日 2026-07-12

Nd:YAGレーザー(皮膚の深い層を温める光)とEr:YAGレーザー(表面の角質に働きかける光)を組み合わせ、口腔内と皮膚表面から「スムースリフト・FRAC3・PIANO・LightPEEL」の4つの照射モードを1回の施術内で順に行う。深部の引き締めと表面のキメ・くすみ改善を同時にねらう仕組み。

承認状況:複数のクリニック公式サイトが「国内未承認医療機器であり、医師個人輸入で導入している」と明記しています(麗ビューティー皮フ科・まりもクリニック・聖心美容クリニック、いずれも2026-07にWebFetchで文言を実確認)。PMDA医療機器情報でもフォトナ4D関連の承認・認証情報は検索で見つかりませんでした。

フォトナ4Dは、口腔内と皮膚表面の両方から4つの照射モード(スムースリフト・FRAC3・PIANO・LightPEEL)を1回の施術内で順に行う点が特徴です。深部の引き締めと表面のキメ・くすみ改善を一台で同時にねらう設計思想は、単一波長で穏やかに温めるタイプの機器とは組み立て方が異なります。

複数のクリニック公式サイトが国内未承認医療機器であり医師個人輸入で導入している旨を明記しており、PMDAの検索でも該当の承認・認証情報は見つかっていません。海外ではFDA承認・CE取得済みとクリニック側は案内していますが、一次資料での型番一致は今回確認できていません。掲載院数は21院と、この章の中では比較的導入が広がっている機種です。

価格DBを見る(収載 22院) →

出典

レーザージェネシス

国内未承認 確認日 2026-07-12

波長1064nmのロングパルスNd:YAGレーザー(皮膚の奥まで届く赤外光)を、出力を抑えて肌表面に軽く連続照射する治療法。真皮を穏やかに温めることでコラーゲン(肌のハリを支えるタンパク質)の生成を促すとされる。

承認状況:PMDA添付文書原本を複数件、実際にWebFetchで開いて確認しました。(1)当初レコードが根拠とした【使用目的又は効果】『キセノン放電管を用い紫外線、可視光線又は赤外線の連続したスペクトル光の温熱効果による血流改善、疼痛又は炎症の緩解』は承認番号23000BZX00281000『Xeo SAシステム』(一般的名称:キセノン光線治療器、赤外線治療器)のものであり、この機器のハンドピースはType LL(LimeLight=IPL)・Type AT(Acutip)・Type PW(Prowave 770)の3種のみでNd:YAGレーザーは搭載されていません(cutera.jp製品ページで確認、ページ内に『Genesis』『Nd:YAG』の語は存在しません)。よってこの承認をNd:YAGレーザーモード(ジェネシス)の承認根拠として引くのは整合しないという監査役の指摘は正しいです。(2)キュテラ社の日本国内Nd:YAGレーザー承認機はexcel HRシステム(承認番号30100BZX00097000、一般的名称:アレキサンドライトレーザ[ネオジミウムヤグレーザ]、755nm/1064nm)のみ確認できましたが、添付文書原本(PMDA、2020-11-18第2版)の【使用目的又は効果】は『本品は、レーザの選択的熱作用により、長期的な減毛を目的とした装置』という文言であり、脱毛(減毛)専用の承認で、コラーゲン生成・肌質改善・小じわ・赤ら顔ケア等の『レーザージェネシス』的用途は含まれません。(3)キュテラ株式会社の現行公式サイト(cutera.jp/index.html)の取扱製品一覧はAviClear/enlighten SR/enlighten III/excel HR/truFLEX/Xeo SAの6製品のみで、『Xeo(無印)』『GenesisPlus』『Laser Genesis』は掲載されていません。(4)美容クリニックサイト(白根医院、WebFetchで直接確認)には、Nd:YAGレーザー(ジェネシス)を含む『XEO』について『日本国内では未承認の治療器』であり医師が個人輸入して使用している旨が明記されています。以上(1)〜(4)を総合し、美容医療機関が『レーザージェネシス』として提供するNd:YAGレーザーモードについて日本の薬機法上の承認(PMDA)は確認できないと判断し、statusを『partial』から『unapproved』に訂正しました。ただしこれはPMDAが発行する『不承認リスト』のような直接の一次資料ではなく、承認機器一覧における不在+クリニック側の申告を根拠とした推定であるため、confidenceはmediumに留めます。

レーザージェネシスは、1064nmのNd:YAGレーザーを出力を抑えて肌表面に連続照射し、真皮を穏やかに温めてコラーゲン生成を促すとされる治療法です。赤み・毛穴・小じわなど、肌質全体を底上げする狙いで案内されることが多いモードです。

「ジェネシス」という名称のNd:YAGレーザーモードについて、日本の薬機法上の承認は確認できませんでした。国内代理店の現行取扱製品一覧にも該当製品名は見当たらず、クリニック側サイトでも国内未承認である旨が明記されています。この判断は承認機器一覧における不在とクリニック側の申告を根拠とした推定であり、一次資料としての不承認リストではない点は教材として留意してください。掲載院数は20院です。

価格DBを見る(収載 20院) →

出典

チタニウムリフト

国内未承認 確認日 2026-07-12

755nm・810nm・1064nmの3波長を同時照射できるダイオードレーザー(半導体レーザー)機器で、SHRモード(コラーゲンを産生する真皮層まで熱を届ける)とSTACKモード(皮膚や脂肪を支える土台のSMAS筋膜まで熱を届ける)を組み合わせて使用する。米国では医療脱毛機として展開されており、たるみ・引き締め目的の使用はこの熱作用を応用したもの。

承認状況:複数クリニックの自院サイトで「日本薬事承認:なし」「国内においては、医薬品医療機器等法上の承認を得ていません」「イスラエルの同社から個人輸入し、医師の責任において使用しています」と明記されています(Renatus Clinic、レジーナクリニック)。PMDA医療機器承認品目検索でも該当情報は確認できておらず、個人輸入医療機器として運用されています。「チタニウムリフト」というたるみ施術名はソプラノチタニウム(本来は医療脱毛機)の熱作用を応用した使い方です。

チタニウムリフトは、755nm・810nm・1064nmの3波長を同時照射できるダイオードレーザー機器を使い、SHRモード(真皮層への熱作用)とSTACKモード(SMAS筋膜への熱作用)を組み合わせてたるみ・引き締めにアプローチする施術です。この機器は米国では本来、医療脱毛機として展開されているという点が、この章の他の機種とは異なる出自です。

複数クリニックの自院サイトで「日本薬事承認:なし」「イスラエルの同社から個人輸入し、医師の責任において使用しています」と明記されており、PMDA検索でも該当情報は確認できていません。米国FDAクリアランスは脱毛用途として取得されているもので、たるみ・引き締め用途としての承認ではない点を区別して理解する必要があります。掲載院数は20院です。

価格DBを見る(収載 20院) →

出典
Guide

承認状況をどう読むか

この章の3機種はいずれも、日本国内での薬機法上の承認が確認できていない、または確認できたのは異なる用途の承認だったという共通点があります。ここで大切なのは「未承認=危険」と短絡しないことです。未承認の医療機器であっても、医師が自らの責任で個人輸入し、患者に必要な説明を行った上で使用すること自体は、教材として扱う範囲では認められています。

一方で、クリニックが未承認機器を広告する場合には、限定解除と呼ばれる要件があります。未承認である旨、入手経路(個人輸入であること)、国内で承認された同種の医薬品・医療機器の有無、そして海外での安全性情報を明示することが求められます。カウンセリングや広告の場でこれらが説明されているかどうかは、そのクリニックの情報開示姿勢を見る一つの手がかりになります。

もう一点押さえておきたいのが、承認の「対象」のずれです。レーザージェネシスの事例のように、装置自体は別の用途(脱毛など)で承認されていても、案内されているメニュー(肌質改善)についての承認ではない、というケースがあります。装置名の承認と、施術メニューの承認は分けて考える必要があります。

Guide

機種間の違いをどう見るか

波長・照射モード・想定適応の3点で機種を比べると整理しやすくなります。フォトナ4Dは深部(Nd:YAG)と表面(Er:YAG)の両方を、口腔内と皮膚外側から複数モードで攻める設計です。レーザージェネシスは単一波長(1064nm)を穏やかな出力で連続照射するシンプルな方式です。チタニウムリフトは3波長を同時照射するダイオードレーザーで、本来は脱毛機として設計された装置の熱作用を応用しています。

この違いは、施術の狙いどころにも表れます。フォトナ4Dは引き締めとキメ改善を一台で完結させる設計、ジェネシスは赤みや毛穴といった肌表面の質感改善を主眼に置いた設計、チタニウムリフトは脱毛機由来のため小顔・引き締めの文脈で語られることが多いという傾向があります。掲載院数(20〜21院)はいずれも近く、この章の中で導入の広がりに大きな差はありません。

Counseling

来院前・導入検討時に確認したいこと

  • 「ジェネシス」「フォトナ」「チタニウムリフト」といった通称は、機器そのものの承認とイコールではないため、クリニックにどの装置のどのモードを指しているかを確認する
  • 国内未承認の機器・モードであれば、医師の責任による個人輸入という導入経路を説明できているかを確認する
  • 広告や説明で未承認である旨・入手経路・国内承認品の有無・海外の安全性情報が示されているかを見る
  • 「FDA承認」「CE取得」といった海外の認可情報と、日本国内での薬機法上の承認は別物であることを理解した上で説明を受ける
  • 同じ機器名でも搭載モードや適応がクリニックによって異なることがあるため、自分が受ける・扱うモードの仕組みを個別に確認する
  • 働き手としては、扱う機器が未承認である場合の説明義務・同意取得の手順が院内でどう定められているかを把握しておく
FAQ

よくある質問

「国内未承認」の機器を扱うクリニックは違法なのですか。
医師が自らの責任で個人輸入し、患者に必要な説明をした上で使用すること自体は、教材として扱う範囲では違法ではないとされています。ただし広告する際には、未承認である旨・入手経路・国内承認品の有無・海外の安全性情報を明示する限定解除の要件を満たす必要があるとされます。
「FDA承認」「CE取得」と書かれていれば安心材料になりますか。
米国や欧州での認可は、その地域での販売・使用が認められているという事実であり、日本国内の薬機法上の承認とは別の制度です。この章で扱う3機種はいずれも、海外での認可情報がクリニック側から示されている一方、国内の薬機法承認は確認できていません。
同じレーザーでも「ジェネシス」と「チタニウムリフト」で仕組みが違うのはなぜですか。
波長や搭載モードがそれぞれ異なるためです。ジェネシスは1064nmのNd:YAGレーザーを抑えた出力で連続照射する方式、チタニウムリフトは3波長を組み合わせたダイオードレーザーで本来は医療脱毛機として展開されている装置の熱作用を応用したものです。仕組みの違いを踏まえて個別に理解する必要があります。
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Sources

章の出典

  1. フォトナ4D | 聖心美容クリニック(聖心美容クリニック、確認日 2026-07-12)
  2. フォトナ4D | 麗ビューティー皮フ科クリニック(麗ビューティー皮フ科クリニック、確認日 2026-07-12)
  3. フォトナ4D(Fotona4D) タイムウォーカー(まりもクリニック、確認日 2026-07-12)
  4. Xeo SAシステム(タイプAT)添付文書 承認番号23000BZX00281000(PMDA(医薬品医療機器総合機構)、確認日 2026-07-12)
  5. CUTERA キュテラ株式会社(取扱製品一覧:AviClear/enlighten/excel HR/truFLEX/Xeo SA)(キュテラ株式会社、確認日 2026-07-12)
  6. XEO™(ゼオ):IPL(光治療)+ロングパルスYAGレーザー(日本国内では未承認・医師個人輸入である旨の記載)(白根医院、確認日 2026-07-12)
  7. Excel HRシステム添付文書 承認番号30100BZX00097000(2020-11-18第2版)(PMDA(医薬品医療機器総合機構)、確認日 2026-07-12)
  8. 脱毛機ソプラノチタニウムとは?(日本薬事承認なし・FDA承認ありの記載)(Renatus Clinic、確認日 2026-07-12)
  9. チタニウムリフトとは?(SHR/STACKモード・SMAS筋膜への熱作用の記載あり)(AVENUE CLINIC、確認日 2026-07-12)
  10. ソプラノチタニウム(個人輸入・薬機法未承認の記載あり)(レジーナクリニック、確認日 2026-07-12)
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