機器編 — CHAPTER 09

導入・肌管理機器 — ハイドラからLDMまで

ハイドラフェイシャル・LDM・ケアシスS・メソナJなど導入&肌管理機器の仕組みと国内承認状況を、価格表の一行から読み解くアカデミー教材。

導入・肌管理章のエディトリアルイラスト
Introduction

導入・肌管理

価格表の一行に「ハイドラフェイシャル 1回」とだけ書かれているのを見て、カウンセラーが説明に詰まる場面がある。水流で毛穴の汚れを吸引する機器なのか、電気の力で美容液を押し込む機器なのか、そもそも国内で承認されている機器なのか——名前だけでは区別がつかない。

第9章では、メニュー表の一行の奥にある「導入・肌管理機器」というカテゴリを分解する。水流ピーリング系、エレクトロポレーション(電気穿孔)系、高密度超音波系という3つの動作原理と、国内未承認という共通の立ち位置を、代表的な4機種を通して整理する。

承認情報の主語を誰にするか、価格表の院数をどう読むか、患者に何を説明する義務があるか。この章を読めば、メニュー表の一行を自分の言葉で説明できるようになる。

Mechanism

「導入・肌管理機器」というカテゴリの仕組み

このカテゴリの機器は、大きく分けると2つの発想でできている。ひとつは「肌の表面をきれいにしてから、美容液を届ける」発想(水流ピーリング系)。もうひとつは「電気や超音波の力で、通常は肌の奥まで届きにくい成分や刺激を届ける」発想(電気穿孔・超音波系)だ。

水流ピーリング系は、専用のチップと渦状の水流を使い、クレンジング・毛穴の汚れの吸引・保湿・美容液の導入までを1台の機器で連続して行う。肌の表面のコンディションを整えることに主眼がある。

電気穿孔(エレクトロポレーション)系は、微弱な電気パルスを肌に与え、角質層や細胞膜に一時的なごく小さな隙間をつくることで、塗るだけでは浸透しにくい美容成分を深層まで届ける技術。同時に冷却機構を備え、赤みや炎症を抑える設計のものもある。

高密度超音波系は、ハイフのように熱で組織を凝固させるのではなく、複数の周波数の超音波をミリ秒単位で切り替えて照射し、肌細胞に振動刺激を与える方式。ダウンタイムを抑えながら弾力を支える組織の活性化を狙う設計として販売されている。

いずれも「肌に何かを届ける・肌に刺激を与える」ための土台となる機器であり、メーカー資料が説明する仕組みそのものが効果を保証するものではない点は、他の章と同様に切り分けて理解する必要がある。

Catalog

機種・製剤一覧

名称メーカー(国)承認状況主な適応相場
ハイドラフェイシャル(HydraFacial) Edge Systems LLC(米BeautyHealth傘下)。日本国内の正規輸入・販売元はサージテック株式会社(医療機器の輸入・販売許可を保有)。(米国) 国内未承認
確認日 2026-07-12
毛穴の目立ち、角栓・黒ずみ、くすみ、乾燥・保湿不足、小じわ、ニキビ肌・オイリー肌のケア 価格DB →
LDM(水玉リフティング) Wellcomet GmbH(ドイツ) 国内未承認
確認日 2026-07-12
小ジワ・ハリ不足、たるみ、乾燥・くすみ、ニキビ・ニキビ跡、敏感肌・アトピー性皮膚の肌質改善、ケロイド(施術者により適応表記あり) 価格DB →
ケアシスS GTG Medical(GTG Wellness)(韓国) 国内未承認
確認日 2026-07-12
乾燥・ハリ不足、シミ・くすみ、小じわ、毛穴の開き、赤ら顔・ニキビ跡の赤み、美白・肝斑ケア(導入液による) 価格DB →
メソナJ セレーネメディカル(株式会社セレーネメディカル)(日本) 国内未承認
確認日 2026-07-12
シミ・肝斑、赤ら顔、ニキビ・ニキビ跡・毛穴、ハリ不足・小ジワ、たるみ、美白ケア 価格DB →
Entries

機種・製剤の解説

ハイドラフェイシャル(HydraFacial)

国内未承認 確認日 2026-07-12

独自特許技術「HydroPeel」チップと渦状の水流(Vortex-Fusion系技術)により、角質・毛穴の汚れを吸引除去しながら美容液成分を肌に導入するとされる専用機器。クレンジング・ピーリング・毛穴吸引・保湿・美容液導入などの工程を1台の機器で行う設計と複数クリニックサイトで説明されている。

承認状況:正規HydraFacial(Edge Systems製、サージテック株式会社が国内輸入・販売)について、複数の独立クリニックが一致して次の内容を明記しています。松田知子皮膚科医院: 製造元を「Edge Systems(米国Edge Systems社)」と明記した上で「未承認機器・薬品」であり「治療には、国内未承認医薬品または医療機器を⽤いた施術が含まれます」「個⼈輸⼊⼿続きをおこなったもの」と記載しています。にしたんクリニック: 「治療には、国内未承認医薬品または医療機器を用いた施術が含まれます」と明記しています。ACCエイジングケアクリニック(サージテック株式会社より輸入): 「使用されるハイドラフェイシャルは医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医療機器です」「万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります」と明記しています。3院の記載が一致しており、正規HydraFacialは国内医療機器製造販売承認・認証を取得していないと判断できます(PMDA一次データベースにも該当の承認記録は確認できておらず、未承認である点と整合します)。なお、これとは別に国立消化器・内視鏡クリニックが「ハイドラフェイシャル」として掲載する機器は輸入元を韓国メーカー「Jeisys Medical Inc.」と明記しており、Edge Systems/BeautyHealthとは別会社の製品である可能性が高いです。Jeisys Medical Japan株式会社の公式取扱製品(Edge ONE/TRI-BEAM PREMIUM/cellec V)一覧にも「ハイドラフェイシャル」ブランドの記載はなく、Jeisys社が正規HydraFacialの製造元である一次証跡は確認できません。市場には類似の水流ピーリング機として韓国製「ハイドラジェントル(HydraGentle)」ブランドも複数クリニックで導入されており、一部クリニックが著名な「ハイドラフェイシャル」の名称を出自の異なる類似機器に一般名詞的に流用している可能性があります。本レコードはaliasesが示す正規Edge Systems/BeautyHealth製品(HydraFacial/HydraFacial MD)を対象とし、Jeisys経由の類似機器については製造元・薬機法上の扱いとも一次資料で確定できないため、同一メーカー・同一製品として扱わず、要再調査・別カタログ項目化が必要な事項として切り分けました。

水流ピーリング系の代表格として名前が挙がる機器で、当メディアの価格DBでは20院が掲示価格を公開している。ただし「ハイドラフェイシャル」という掲示名は、米Edge Systems(BeautyHealth傘下)製の正規品と、出自の異なる類似機器の双方に使われている可能性があり、掲示名だけで同一製品と判断しない慎重さが求められるカテゴリだ。

複数の独立クリニックのサイトで、正規品については「国内未承認医薬品または医療機器を用いた施術が含まれる」「個人輸入手続きを行った」と一致した記載が確認できる。承認情報を説明する際は、まず目の前の機器がどちらの系統かを確認する姿勢が実務上重要になる。

価格DBを見る(収載 21院) →

出典

LDM(水玉リフティング)

国内未承認 確認日 2026-07-12

1MHz・3MHz・10MHzなど複数の周波数の超音波(高密度超音波=集束させず表皮〜真皮に振動エネルギーを与える方式)をミリ秒単位で切り替えて照射し、痛みや熱によるダウンタイムを抑えながら肌細胞に振動刺激を与える。ハイフのような熱凝固ではなく、細胞外マトリックス(肌の弾力を支える組織)の活性化を狙う機器として販売されている。

承認状況:日本国内では未承認の医療機器です。クリニックの表示で「LDMは日本国内においては、未承認機器となっております」「治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入を行っています」と明記されていることをWebFetchで確認しました。同ページに医薬品副作用被害救済制度の対象外である旨の明示的な記載は見当たらず(未承認機器であることからの推測に留まります)、この点は断定しません。PMDA承認・認証情報は確認できておらず、国内薬事承認の記録は見当たりません。

高密度超音波系に分類される機器で、複数の周波数をミリ秒単位で切り替えて照射する点が水流ピーリング系や電気穿孔系とは異なる。当メディアの価格DBでは20院が掲示価格を公開しており、導入院数はハイドラフェイシャルと並ぶ。

クリニックの表示では「日本国内においては、未承認機器となっております」「治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入を行っています」と明記されている。ドイツWellcomet社製で、自社サイトにはCEマーキングの表示が確認できるが、国内代理店の説明にはメーカーとの提携関係が明記されていない箇所もあり、販売網の実態は出典の範囲でしか判断できない。

価格DBを見る(収載 20院) →

出典

ケアシスS

国内未承認 確認日 2026-07-12

微弱な電気パルスを肌に与え、角質層・細胞膜に一時的な小さな隙間(エレクトロポア)を作ることで、通常の塗布では浸透しにくい美容成分を皮膚の深層まで届ける技術。同時に施術部位を冷却(クライオ)することで赤みや炎症を抑える機構を備える。

承認状況:国内では医薬品医療機器等法上の未承認医療機器です。renatusclinic.jpは「CareSys(ケアシス)は国内未承認医療機器(薬機法未承認)です」、iga-hifuka.comは「日本国内では未承認の機器となっています」と明記しています。いずれも医師の個人輸入により入手し医師の責任下で使用していると説明しています。承認販売名はありません。導入液(ペップビュー等)も同様に未承認・個人輸入扱いです。

電気穿孔(エレクトロポレーション)系の一台で、微弱な電気パルスで肌に一時的な隙間をつくり、美容成分を深層まで届ける仕組みは同系統のメソナJと共通する。当メディアの価格DBでは19院が掲示価格を公開している。

クリニックの記載では「国内未承認医療機器(薬機法未承認)」と明記され、導入液についても未承認・個人輸入扱いとされている。韓国当局の承認取得を説明するクリニックもあるが、公式な承認番号までは今回の調査で確認できておらず、この点は「クリニック側の説明では」という主語でしか書けない。

価格DBを見る(収載 19院) →

出典

メソナJ

国内未承認 確認日 2026-07-12

特殊な電気パルスで肌の細胞膜に一時的な微細な隙間をつくる「エレクトロポレーション(電気穿孔法)」を用い、あわせて電気反発力・電気浸透力・物理的押力で、通常は浸透しにくい高分子の美容成分を肌の深層(真皮層)まで届ける経皮導入機。

承認状況:国内の医薬品医療機器等法(薬機法)上の製造販売承認・認証を得ていない未承認医療機器です。導入院サイト(あおい皮フ科・美容皮膚科クリニック)にも「国内では医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認機器」と明記されています。医師が自己の患者の治療に用いる目的で個人輸入する枠組みで導入されています。JIS規格・EMC試験等の品質規格には合格しているとメーカーは説明していますが、これは薬事承認とは別物です。

同じ電気穿孔系だが、開発元が日本のセレーネメディカルである点がケアシスSとの違いとして押さえておきたいポイントだ。国産の経皮導入機として複数の美容皮膚科・美容外科チェーンで導入例があり、当メディアの価格DBでは18院が掲示価格を公開している。

国産であっても薬機法上の未承認である点は変わらず、導入院サイトにも「国内では医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認機器」と明記されている。メーカーがJIS規格やEMC試験の合格を説明していても、それは品質規格の話であり薬事承認とは別物である、という区別を教材として押さえておく。

価格DBを見る(収載 18院) →

出典
Guide

承認状況の読み方——「未承認」は一括りにできない

この章の4機種はいずれも国内未承認機器で、医師の責任による個人輸入という枠組みで導入されている点は共通する。ただし「未承認」の中身は一様ではなく、海外での承認・認証状況が確認できるものとできないもの、国内代理店の説明とメーカー資料の間に整合が取れていないものが混在している。

教材としては「未承認だから同じ」で終わらせず、承認情報の主語(メーカー、クリニック、当メディア)を常に意識し、確認できない事項は「unknown」として扱う姿勢そのものを学ぶ章だと捉えたい。クリニックが広告として発信する場合は、未承認である旨・入手経路・国内承認品の有無・海外の安全性情報の明示という限定解除の要件が必要になる。

Guide

掲示名と機種の違いをどう見るか

ハイドラフェイシャルの項で見たように、同じ掲示名でも出自の異なる機器が市場に流通している可能性がある。水流ピーリング系・電気穿孔系・高密度超音波系という動作原理の違いを押さえておけば、メニュー表の一行から「どの系統の機器か」を推測する手がかりになる。

動作原理が同じでも、メーカー・製造国・海外での承認状況は機種ごとに異なる。カウンセラーが患者に説明する際は、機種名だけでなく「どこの国のどのメーカーの機器か」まで確認する習慣が、誤った説明を避ける実務上の防波堤になる。

Guide

価格DBの院数をどう読むか

この章で挙げた導入院数(18〜20院)は、いずれも当メディアの価格DBに掲示価格を公開しているクリニックの集計値であり、第三者統計でも人気・効果の優劣を示すものでもない。掲示名の揺れがある機種(ハイドラフェイシャル)では、集計値に出自の異なる機器が混在している恐れがある点も、データを扱う側の留保として持っておきたい。

Counseling

来院前・現場で確認しておきたい観点

  • メニュー表に書かれた機器名が、水流ピーリング系・電気穿孔系・高密度超音波系のどれに当たるかを把握しているか
  • その機器が国内未承認である場合、個人輸入の枠組みで導入されている旨をクリニックが明示しているか
  • 同じ掲示名でも製造元・製造国が異なる可能性がある機種(ハイドラフェイシャル等)で、目の前の機器がどちらの系統かを確認したか
  • 万が一の副作用が起きた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性について、クリニック側の説明を確認したか
  • 海外での承認・認証状況(FDA・CE・MFDS等)について、クリニックの説明が一次資料に基づくものか、それとも未確認事項として扱われているか
  • 導入院数の多さを「人気」以上の意味(効果の優劣など)に解釈していないか
FAQ

よくある質問

この章の機器はすべて国内未承認ということですか。
この章で扱った4機種(ハイドラフェイシャル・LDM・ケアシスS・メソナJ)は、いずれも薬機法上の未承認医療機器として、医師の責任による個人輸入という枠組みで導入されているとクリニック側のサイトで説明されています。国産であるメソナJも例外ではありません。
『ハイドラフェイシャル』という名前の機器はすべて同じものですか。
断定はできません。米Edge Systems製の正規品を指す記載がある一方、輸入元をJeisys Medicalと明記する別の機器にも同じ名称が使われている例が確認されています。メニュー表の名称だけで同一製品と判断せず、製造元まで確認する姿勢が必要です。
水流ピーリング系と電気穿孔系は何が違いますか。
水流ピーリング系は水流で毛穴の汚れを吸引しながら美容液を導入する機器、電気穿孔系は微弱な電気パルスで肌に一時的な隙間をつくり成分の浸透を助ける機器です。動作原理が異なるため、機種名を見た時にどちらの系統かを意識すると理解が早くなります。
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Sources

章の出典

  1. ハイドラフェイシャル-HydraFacial- - ACCエイジングケアクリニック 四条河原町(ACCエイジングケアクリニック、確認日 2026-07-12)
  2. サージテック株式会社 Surge tech Corporation(サージテック株式会社、確認日 2026-07-12)
  3. ハイドラフェイシャル〜医療専用のピーリングマシン|福岡 美容皮膚科 松田知子皮膚科医院(松田知子皮膚科医院、確認日 2026-07-12)
  4. ハイドラフェイシャル - 国立消化器・内視鏡クリニック(国立消化器・内視鏡クリニック、確認日 2026-07-12)
  5. Wellcomet: In general (CEマーキング2797・medical device表示)(Wellcomet GmbH、確認日 2026-07-12)
  6. LDM水玉リフティング(原理・適応の説明、Wellcomet社名や周波数の数値記載はなし)(新宿ラクル美容外科クリニック、確認日 2026-07-12)
  7. LDM治療についての重要情報(未承認機器・個人輸入の表示)(ココンベルクリニック、確認日 2026-07-12)
  8. LDM Water Ball Lifting 取扱情報(クレア社は米国Venus Concept Inc.の正規代理店と自称、Wellcomet直接の代理店表記ではない)(株式会社クレア、確認日 2026-07-12)
  9. エレクトロポレーションケアシスS(レナトスクリニック、確認日 2026-07-12)
  10. ケアシス|クレシオ株式会社|医療・美容器具(クレシオ株式会社、確認日 2026-07-12)
  11. ケアシスの効果・施術の流れ・注意点(新宿駅前IGA皮膚科、確認日 2026-07-12)
  12. 【医師が解説】メソナJとは?施術中動画やビフォーアフター(アンデュースキンケアクリニック、確認日 2026-07-12)
  13. メソナJ | あおい皮フ科・美容皮膚科クリニック(あおい皮フ科・美容皮膚科クリニック、確認日 2026-07-12)
  14. MESONA-J メソナJ 公式サイト(セレーネメディカル(メソナJ公式)、確認日 2026-07-12)
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