コラーゲン産生系
ヒアルロン酸フィラーが「注入した量で埋める」製剤だとすれば、この章で扱う製剤群は「注入したきっかけで、自分のコラーゲンを作らせる」製剤です。同じ「注入」というカテゴリの中でも、体積の作られ方も、効果が出るまでの時間も、フィラーとは別の理屈で動いています。
この違いを軸に、アエスフィル・エランセ・GOURI・ジュベルック・ラディエッセ・レニスナ・スカルプトラの7製剤を並べて見ていきます。いずれもPLLA・PDLLA・PCL・CaHAといった生体吸収性の成分を使いながら、粒子の大きさや担体の設計、狙う深さが少しずつ異なります。
もう一つの軸は承認状況です。この章に登場する製剤は、かつて国内承認を得ていたが失効したもの、承認状況が出典間で確定できないもの、明確に未承認とされているものが混在しており、「未承認」の一言で片づけずに、何がどこまで確認できているかを一段ずつ見ていく教材として組み立てています。
仕組み — 「埋める」のではなく「作らせる」
ヒアルロン酸フィラーが注入した量そのものが体積となってしわや溝を埋めるのに対し、この章で扱う製剤群は、皮下に注入した微粒子や液状成分が皮膚の線維芽細胞(コラーゲンを作る細胞)を刺激し、自分自身のコラーゲン産生を時間をかけて促す点が共通の特徴です。効果が出るまでに数週間から数か月かかる遅効性の製剤である、という説明が複数のメーカー・クリニック資料で確認できます。
中心となる成分はいくつかの系統に分かれます。PLLA(ポリ-L-乳酸)やPDLLA(ポリ-D,L-乳酸)は縫合糸や人工骨にも使われる生体吸収性の合成ポリマーで、体内で徐々に分解される過程で異物反応としてコラーゲン産生を促すとされています。PCL(ポリカプロラクトン)も同様に医療用の溶ける縫合糸に使われる高分子で、微粒子または液状のまま注入されます。CaHA(カルシウムハイドロキシアパタイト、骨や歯にも含まれるミネラル成分)はやや異なり、微小球そのものがボリューム補填を担いながら線維芽細胞も刺激するという、フィラー的な即効性とコラーゲン産生系の両面を持つ成分です。
担体(キャリアゲル)にも違いがあります。PDLLA粒子を非架橋ヒアルロン酸に分散させる製剤(ジュベルック・レニスナなど)がある一方、CMC(カルボキシメチルセルロース)ベースのゲルで分散させる製剤(エランセ)もあり、同じ「コラーゲンを育てる」という目的でも担体の設計は製剤ごとに異なります。
機種・製剤一覧
| 名称 | メーカー(国) | 承認状況 | 主な適応 | 相場 |
|---|---|---|---|---|
| アエスフィル(AestheFill) | REGEN Biotech, Inc.(韓国。現在の製品公式サイトはCHAEUM PHARMAとの関連表記あり、関係の詳細は未確認)(韓国) | 国内未承認 確認日 2026-07-12 | ほうれい線・しわの改善、頬のボリューム不足、肌のハリ・弾力低下(皮膚萎縮)、顔の輪郭の補正 | — |
| エランセ | Sinclair Pharma(製造: AQTIS Medical BV)(英国(Sinclair Pharma)/製造はオランダ(AQTIS Medical BV、公式サイトellanse.comの製造者表記で確認)) | 確認中 確認日 2026-07-12 | ほうれい線・マリオネットラインなどのしわ・溝の修正、こめかみ・頬・目の下などのボリュームアップ、アゴ・オトガイ・頬骨などの輪郭形成、額の陥凹の修正 | — |
| GOURI(ゴウリ) | DEXLEVO(デックスレボ)(韓国) | 国内未承認 確認日 2026-07-12 | 肌質改善(キメ・ハリ)、小ジワ、目の下のくぼみ・クマ、ボリューム・リフト感の付与、コラーゲン産生促進 | — |
| ジュベルック(Juvelook) | VAIM Global Inc.(韓国・ソウル)(韓国) | 国内未承認 確認日 2026-07-12 | 肌のハリ低下、毛穴の開き、ニキビ跡・クレーター状の凹み、小じわ、肌質改善 | — |
| ラディエッセ (レディエッセ) | Merz Aesthetics(アメリカ・ドイツ (Merz Pharma傘下)) | 国内未承認 確認日 2026-07-12 | ほうれい線などの深いしわ・溝の改善、頬のたるみ・ボリューム不足の補整、顎先・こめかみなどの輪郭形成、目の下のくぼみ改善、顎ライン(ジョウライン)の輪郭改善(米国適応)、手の甲のボリューム補整(海外適応) | — |
| レニスナ | Vaim Co., Ltd.(VAIM Global Inc.) — 韓国・大田(Daejeon)拠点。同社公式サイト(vaim.co.kr)でJuvelookおよびLenisnaの両ブランド名を確認。ユーザー補完候補の「Genoss」は独自ソースで裏取りできず、一次情報(メーカー公式サイト)・複数の海外解説記事はいずれも製造元をVaim Co., Ltd.としている。Genossは同じ韓国の医療機器メーカーだが別会社であり、Juvelook/Lenisnaとの関連は確認できなかった(韓国) | 国内未承認 確認日 2026-07-12 | ほうれい線の溝の改善、頬のボリュームロス・コケの改善、マリオネットラインの改善、こめかみの陥凹の改善、肌のハリ・弾力サポート(コラーゲン産生) | — |
| スカルプトラ | Galderma(スイス(Galderma、承認取得時の開発元は米Dermik Laboratories/後に仏Sanofi傘下→Galdermaへ)) | 国内未承認 確認日 2026-07-12 | 頬・こめかみなど顔面のボリュームロス改善、ほうれい線など表情皺の陰影改善、肌のハリ低下の改善(適応外・自由診療での使用実態)、(海外承認上の適応)HIV関連の顔面萎縮(facial lipoatrophy) | — |
機種・製剤の解説
アエスフィル(AestheFill)
国内未承認 確認日 2026-07-12主成分はPDLLA(ポリ-D,L-乳酸、生分解性の合成ポリマー)で、多孔質の微小球を皮下に注入し、周囲の線維芽細胞を引き寄せて自らのコラーゲン産生を促す仕組み。ヒアルロン酸のように注入した量がそのまま体積を作るのではなく、体内で数か月かけて組織が作られていく点が異なる。
承認状況:PMDA承認情報ページ(review-information/0002.html)を実際に開いて確認したが、承認された医薬品等の検索入口ページであり、AestheFillおよびREGEN Biotechに関する個別の記載は一切ない。WebSearchでも日本国内での承認・薬事取得を示す一次情報は見つからず、個人輸入案内(厚労省・近畿厚生局)や国内クリニック向け紹介サイト(aesthefill.jp)が確認できるのみ。国内クリニックでの取り扱いは医師の個人輸入による未承認医薬品としての扱いが一般的とみられ、その場合は医薬品副作用被害救済制度の対象外となる。承認販売名は確認できず。
アエスフィルはPDLLAの多孔質微小球を用いる韓国製製剤です。韓国MFDSでの承認取得が確認できる一方、国内での薬事承認を示す一次情報は見つからず、国内クリニックでの取り扱いは医師の個人輸入による未承認医薬品としての扱いが一般的とみられます。
製品公式サイトが主張するFDA関連の表現(GRAS登録など)は、あくまでサイト上の自己申告であり、医療機器・医薬品としての個別承認を示す一次情報とは区別して読む必要があります。海外の許認可表示を見る際は、どの規制当局の、どの区分の承認かを一段ずつ確認する姿勢がこの製剤群全体に共通して求められます。
出典
- 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ(厚生労働省、確認日 2026-07-12)
- AestheFill and PowerFill has obtained CE certificate.(2021/4/4付)(REGEN Biotech Inc.、確認日 2026-07-12)
- 承認情報 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(AestheFill/REGEN Biotechへの言及なしを確認)(PMDA、確認日 2026-07-12)
- AestheFill公式サイト(成分・原理・FDA GRAS登録等の自己申告記載)(REGEN Biotech Inc. / CHAEUM PHARMA、確認日 2026-07-12)
エランセ
確認中 確認日 2026-07-12主成分はPCL(ポリカプロラクトン。医療用の溶ける縫合糸にも使われる生体吸収性の高分子、製剤の約30%)と、それを均一に分散させるCMC(カルボキシメチルセルロース、製剤の約70%)ベースのキャリアゲル。PCL微粒子が体内で徐々に分解される過程で周囲にコラーゲン産生を促すよう設計された製剤とされる(ft-bc.jpに引用の生検報告ではこめかみ注入1年後に皮膚厚が約26.7%増加、2年後に約48.7%増加との報告あり)。
承認状況:PMDA承認品目一覧・医療機器検索の案内では該当記載を確認できず、国内での医薬品/医療機器としての承認可否を裏付ける一次資料は本調査で見つからなかった。国内クリニックの一部(コムロ美容外科・ももスキンケアクリニック)が公開する未承認薬剤リストにもエランセの明記はなく(momo-scc.jpを実際に開いて確認、掲載製品はヒアルロン酸・レディエッセ・ボツリヌストキシン等でエランセは含まれない)、各クリニックの紹介ページにも「未承認」「個人輸入」の明示的記載は確認できなかった。承認状況は不明として扱う。
エランセはPCL微粒子をCMCベースのゲルに分散させる製剤で、国内クリニックの一部が公開する未承認薬剤リストにも明記がなく、承認状況は本調査の範囲では不明として扱わざるを得ません。断定できない情報を「未承認」「承認済み」のどちらか一方に寄せて説明することは避けるべき製剤です。
欧州CEマークの取得は確認できますが、米国FDA承認については出典間で記載が割れており、国内クリニックサイトと公式サイトの記載が一致しません。海外承認の表記は出典ごとに主語を区別して伝える必要がある典型例です。
出典
- 国内未承認治療について(ももスキンケアクリニック、確認日 2026-07-12)
- エランセ | 効果・腫れ・副作用・コラーゲンブースト作用(湘南美容クリニック系(ft-bc.jp)、確認日 2026-07-12)
- ELLANSÉ | Dermal Fillers for Natural Collagen Stimulation(Sinclair Pharma (Ellansé公式)、確認日 2026-07-12)
- エランセ | 東京美容外科(東京美容外科、確認日 2026-07-12)
GOURI(ゴウリ)
国内未承認 確認日 2026-07-12生分解性ポリマーであるPCL(ポリカプロラクトン、体内で徐々に分解・吸収される医療用高分子素材)を微粒子化せず液状のまま皮膚に注入する製剤。線維芽細胞を刺激し自己コラーゲンの生成を促すとされる。
承認状況:国内で医薬品医療機器等法の承認を得ていない未承認製品。クリニックの未承認医薬品等説明ページに「この治療で使用されるゴウリは医薬品医療機器等法の承認を得ていない未承認の製品です」「国内において承認されている医薬品はありません」と明記(renatusclinic.jp)。
GOURIはPCLを微粒子化せず液状のまま注入する点が、微粒子化された他のPCL系・PDLLA系製剤との違いとして挙げられます。国内では未承認製品であることがクリニックの説明ページに明記されており、この章の中では承認状況の記載が比較的明瞭な例です。
海外承認についても、CEは取得済みとされる一方でKFDA(韓国)は承認手続きが進行中とされ、地域ごとの承認段階にばらつきがあります。海外で承認済みという表現を見たときは、どの国・どの当局かを一段確認する必要がある例として扱えます。
出典
- GOURI(ゴウリ)注射が安い(renatusclinic.jp、確認日 2026-07-12)
- GORGEOUS GOURI (why_gouri)(DEXLEVO/GOURI公式、確認日 2026-07-12)
- GOURI(ゴウリ) | ライズワン美容皮膚科クリニック(riseoneclinic.com、確認日 2026-07-12)
ジュベルック(Juvelook)
国内未承認 確認日 2026-07-12主成分のポリ乳酸(PDLLA、体内で分解される高分子)を非架橋ヒアルロン酸(HA)のゲルに配合し真皮層へ注入する製剤。PDLLAが徐々に分解される過程で線維芽細胞を刺激しコラーゲン産生を促すとされる。
承認状況:日本国内では医薬品医療機器等法上の未承認医療機器。国内クリニックはネイチャーフォース・ジャパン社等を通じ個人輸入し自由診療で提供している旨、複数のクリニック説明ページに記載あり。※「医薬品副作用被害救済制度の対象外」との記述は当初案に含まれていたが、確認した出典(kinshicho-clinic.com、renatusclinic.jp)いずれにも当該文言の記載は無く出典未確認のため削除した。
ジュベルックはポリ乳酸(PDLLA)を非架橋ヒアルロン酸のゲルに配合する製剤で、国内では未承認医療機器として個人輸入により提供されています。韓国MFDS承認・欧州CEマーク取得は確認できますが、米国FDA承認については出典間で記載が割れており不明として扱います。
同じメーカー(VAIM Global)がPDLLA濃度・粒子径を変えた製品(レニスナ)を展開しており、成分の系統は同じでも設計思想の異なる製品がライン展開されている点は、このカテゴリを見るうえで参考になります。
出典
- ジュベルックの危険性・副作用・しこりを医師が科学的データをもとに徹底解説(renatusclinic.jp、確認日 2026-07-12)
- What Is Juvelook? Complete PDLLA+HA Skin Booster Guide(FillersFairy、確認日 2026-07-12)
- ジュベルック(Juvelook)(錦糸町皮膚科内科クリニック、確認日 2026-07-12)
ラディエッセ (レディエッセ)
国内未承認 確認日 2026-07-12主成分はカルシウムハイドロキシアパタイト(CaHA、骨や歯にも含まれるミネラル成分)の微小球をゲルに分散させた製剤。注入部位のボリューム補填に加え、線維芽細胞(コラーゲンを作る細胞)を刺激してコラーゲン産生を促す作用があるとされる。
承認状況:国内で医薬品・医療機器としての薬事承認は確認できず。国内クリニック(みずほクリニック等)は「自由診療においては本国における未承認医薬品・医療機器が含まれる」と明示し、医師の個人輸入により導入している。PMDA承認品目リストにも該当する承認販売名は見当たらない。
ラディエッセ(レディエッセ)はCaHA(カルシウムハイドロキシアパタイト)の微小球を用いる製剤で、他のPDLLA・PCL系製剤と異なり、ボリューム補填とコラーゲン産生刺激の両方を担う設計です。国内では薬事承認が確認できず、クリニックの個人輸入による未承認医薬品としての取り扱いとなっています。
米国FDAは2006年にしわ改善用途、2021年には顎ライン輪郭改善の追加適応を承認しており、海外での承認範囲が拡大してきた経緯が確認できる製剤です。海外での適応拡大の経緯と、国内での承認状況は別のレイヤーの話として区別して読む必要があります。
出典
- Merz Receives CE Mark for Radiesse® (+) Lidocaine(Merz、確認日 2026-07-12)
- MERZ AESTHETICS LAUNCHES RADIESSE® (+) AS FIRST AND ONLY AESTHETIC INJECTABLE TO IMPROVE MODERATE TO SEVERE LOSS OF JAWLINE CONTOUR(Merz Aesthetics、確認日 2026-07-12)
- レディエッセ注入(しわ・クマ改善、小顔整形など)(みずほクリニック、確認日 2026-07-12)
レニスナ
国内未承認 確認日 2026-07-12PDLLA(ポリDL乳酸、生体内で分解される合成ポリマー粒子)が皮下組織に緩やかな刺激を与えて自らのコラーゲン産生を促し、非架橋ヒアルロン酸が担体としてPDLLA粒子を均一に分散させる。同メーカーの基本製品ジュベルック(PDLLA42.5mg+HA7.5mg、粒子径20〜40μmで真皮層のスキンクオリティ向け)とは別の製品(SKU)で、レニスナ(=ジュベルックボリューム)はPDLLA170mg+HA30mg・粒子径40〜60μmと高濃度大粒子であり、カニューレを用いて皮下組織〜骨膜上まで深く注入し、ボリューム改善を主目的とする点で明確に異なる。
承認状況:国内で薬機法上の医薬品・医療機器としての承認は確認できなかった。石井関東クリニック公式サイトが『ジュベルック・ジュベルックボリュームは医薬品医療機器等法上、未承認医療機器です』『国内販売代理店経由で個人輸入』と明記しており、国内では未承認医薬品としての自由診療(個人輸入相当の枠組み)で提供されている。
レニスナはジュベルックと同じメーカー(VAIM Global)による製品で、PDLLA濃度と粒子径を高めに設計し、カニューレで皮下組織〜骨膜上まで深く注入してボリューム改善を主目的とする点でジュベルックと明確に使い分けられています。同一メーカー内での製品ラインの違いを理解する好例です。
国内では未承認医療機器として個人輸入相当の枠組みで提供されている旨がクリニックの説明ページに明記されています。米国FDAでのクリアランスについてはクリニック記載間で相反する記述があり、この章の中でも承認情報の食い違いが目立つ製剤の一つです。
出典
- Vaim - juvelook (公式サイト)(Vaim Co., Ltd.、確認日 2026-07-12)
- ジュベルック / ジュベルックボリューム(レニスナ)(石井関東クリニック、確認日 2026-07-12)
- What Is Juvelook? Complete PDLLA+HA Skin Booster Guide (2026)(FillersFairy、確認日 2026-07-12)
- ジュベルックボリューム(レニスナ)(メディアージュクリニック、確認日 2026-07-12)
スカルプトラ
国内未承認 確認日 2026-07-12主成分はPLLA(ポリ-L-乳酸、縫合糸や人工骨にも使われる生体吸収性の合成高分子)の微粒子で、皮膚の深い層に注入すると異物反応としてコラーゲン産生が促されるとされる。効果が出るまでに数週間〜数か月かかる遅効性の製剤。
承認状況:2009年に「ニュー・フィル」の名称で国内承認された経緯があるが、その後販売中止となり承認は失効したとする記述が確認できる(一般社団法人再生医療ネットワーク)。現在は薬機法上の承認がない未承認薬で、美容目的での使用は自由診療(個人輸入等)に限られる。承認当時の適応の詳細(部位・範囲)や承認取得企業名は一次資料(PMDA等)で確認できず不明。
スカルプトラはPLLA微粒子を用いる製剤で、この章の中で唯一、2009年に「ニュー・フィル」の名称で国内承認された経緯が確認できます。その後販売中止となり承認が失効したとされ、現在は未承認薬として自由診療で扱われています。
米国では2004年にHIV関連の顔面脂肪萎縮治療用としてFDA承認され、2009年に健常者の表情皺改善に適応拡大されました。同じ「コラーゲンを育てる」カテゴリの中でも、海外での承認の起点(治療目的か美容目的か)が異なる製剤として比較の軸になります。
出典
- C04.日本で使用されている美容医療薬剤の詳細リストと解説V1.0(一般社団法人再生医療ネットワーク、確認日 2026-07-12)
- SCULPTRA for HIV FACIAL LIPOATROPHY APPROVED BY FDA(NATAP、確認日 2026-07-12)
承認状況の読み方 — 「未承認」は一枚岩ではない
この章の7製剤を承認状況で並べると、少なくとも3つの層があることが見えてきます。まず、スカルプトラのように過去に国内承認を得ていたが現在は失効しているもの。次に、GOURIやジュベルック、ラディエッセ、レニスナ、アエスフィルのように、国内での承認が確認できず未承認として扱われているもの。そして、エランセのように国内クリニックの資料にも明確な承認・未承認の記載がなく、不明として扱わざるを得ないものです。
海外の承認状況についても同じ注意が必要です。「CEマーク取得」「FDA承認」といった表記が製品公式サイトやクリニックサイトに並んでいても、それがどの規制当局の、どの区分(医療機器か医薬品か)の承認を指しているのかは製剤ごとに確認が必要で、出典間で記載が食い違う例(エランセ・レニスナのFDA関連の記述など)も少なくありません。
働き手としてこの製剤群を扱う際は、メーカー公式サイトの主張、クリニックサイトの説明、規制当局の一次情報を区別して読み、どの主語で書かれた情報かを常に意識することが求められます。
違いをどう見るか — 成分・粒子・担体の3点で比較する
7製剤を比較する際は、①主成分(PLLA・PDLLA・PCL・CaHAのどれか)、②粒子の形状(微粒子か液状か、粒子径の大小)、③担体(非架橋ヒアルロン酸かCMCベースのゲルか)の3点で見ると整理しやすくなります。例えば同じPDLLA系でもジュベルックとレニスナは粒子径・配合量が異なり、前者は肌質改善、後者はボリューム改善という異なる用途に設計されています。
CaHAを使うラディエッセは、他の製剤が「時間をかけて作らせる」ことに主眼を置くのに対し、微小球自体のボリューム補填効果も併せ持つ点で、他の6製剤とはやや異なる立ち位置にあります。カウンセリングの場でも、この製剤がどちらの性格(即効的な補填か、時間をかけた産生促進か)に近いかを説明できると、患者・現場双方の理解の助けになります。
来院前・導入前に確認したい観点
- 承認状況を「未承認」「承認失効」「不明」のどれとして扱っているか、クリニックの説明資料で確認する(スカルプトラは過去に国内承認があった経緯があるが現在は失効している点が他と異なる)
- 効果が出るまでの期間はヒアルロン酸系フィラーより長く、コラーゲン産生を待つ製剤である旨が説明されているか
- 同じPDLLA系・PCL系でも粒子サイズや配合量(例: ジュベルックとレニスナ)によって狙う深さ・用途が違うことが説明されているか
- 未承認製剤を扱う場合、入手経路(個人輸入か国内代理店経由か)・国内承認品の有無・海外の安全性情報が説明資料に明示されているか
- 医薬品副作用被害救済制度の対象になるかどうか(未承認医薬品は対象外となる場合がある)を確認しているか
- 働き手として説明する場合、メーカー資料と海外規制当局(FDA・MFDS・CEマーク)の情報を混同せず、どの主体の情報かを区別して伝えられるか
よくある質問
- コラーゲンを育てる注入剤とヒアルロン酸フィラーは併用できますか。
- digestの範囲では機序の違い(即時のボリューム形成か、時間をかけたコラーゲン産生の促進か)までしか確認できておらず、併用可否は施術方針次第です。個別の判断はクリニックの説明資料・医師の見解に委ねられる領域として扱ってください。
- 「国内未承認」と書かれている製剤は違法なのですか。
- 未承認であること自体が直ちに違法を意味するわけではなく、医師の責任のもとでの個人輸入という枠組みで用いられているのが実情として確認できます。ただしクリニックが広告する際は、未承認である旨・入手経路・国内承認品の有無・海外の安全性情報を明示する限定解除の要件を満たす必要があるとされています。
- スカルプトラはかつて国内承認されていたと聞きましたが、今は承認薬なのですか。
- 2009年に「ニュー・フィル」の名称で国内承認された経緯が確認できますが、その後販売中止となり承認自体が失効したとの記述があります。現在は薬機法上の承認がない未承認薬として扱われている、というのがdigestで確認できる範囲です。
関連ページ
章の出典
- 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ(厚生労働省、確認日 2026-07-12)
- AestheFill and PowerFill has obtained CE certificate.(2021/4/4付)(REGEN Biotech Inc.、確認日 2026-07-12)
- 承認情報 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(AestheFill/REGEN Biotechへの言及なしを確認)(PMDA、確認日 2026-07-12)
- AestheFill公式サイト(成分・原理・FDA GRAS登録等の自己申告記載)(REGEN Biotech Inc. / CHAEUM PHARMA、確認日 2026-07-12)
- 国内未承認治療について(ももスキンケアクリニック、確認日 2026-07-12)
- エランセ | 効果・腫れ・副作用・コラーゲンブースト作用(湘南美容クリニック系(ft-bc.jp)、確認日 2026-07-12)
- ELLANSÉ | Dermal Fillers for Natural Collagen Stimulation(Sinclair Pharma (Ellansé公式)、確認日 2026-07-12)
- エランセ | 東京美容外科(東京美容外科、確認日 2026-07-12)
- GOURI(ゴウリ)注射が安い(renatusclinic.jp、確認日 2026-07-12)
- GORGEOUS GOURI (why_gouri)(DEXLEVO/GOURI公式、確認日 2026-07-12)
- GOURI(ゴウリ) | ライズワン美容皮膚科クリニック(riseoneclinic.com、確認日 2026-07-12)
- ジュベルックの危険性・副作用・しこりを医師が科学的データをもとに徹底解説(renatusclinic.jp、確認日 2026-07-12)
- What Is Juvelook? Complete PDLLA+HA Skin Booster Guide(FillersFairy、確認日 2026-07-12)
- ジュベルック(Juvelook)(錦糸町皮膚科内科クリニック、確認日 2026-07-12)
- Merz Receives CE Mark for Radiesse® (+) Lidocaine(Merz、確認日 2026-07-12)
- MERZ AESTHETICS LAUNCHES RADIESSE® (+) AS FIRST AND ONLY AESTHETIC INJECTABLE TO IMPROVE MODERATE TO SEVERE LOSS OF JAWLINE CONTOUR(Merz Aesthetics、確認日 2026-07-12)
- レディエッセ注入(しわ・クマ改善、小顔整形など)(みずほクリニック、確認日 2026-07-12)
- Vaim - juvelook (公式サイト)(Vaim Co., Ltd.、確認日 2026-07-12)
- ジュベルック / ジュベルックボリューム(レニスナ)(石井関東クリニック、確認日 2026-07-12)
- What Is Juvelook? Complete PDLLA+HA Skin Booster Guide (2026)(FillersFairy、確認日 2026-07-12)
- ジュベルックボリューム(レニスナ)(メディアージュクリニック、確認日 2026-07-12)
- C04.日本で使用されている美容医療薬剤の詳細リストと解説V1.0(一般社団法人再生医療ネットワーク、確認日 2026-07-12)
- SCULPTRA for HIV FACIAL LIPOATROPHY APPROVED BY FDA(NATAP、確認日 2026-07-12)